日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
システム・インテグレーション
しすてむいんてぐれーしょん
system integration
SIと略記される。各種のコンピュータ機器を通信回線で結んで、一つの大きなシステムを構築するとの意味である。通産省(現経済産業省)では「ある情報システムの構築について、ユーザーの要求内容を的確に把握し、これに基づいて基本設計、プログラム作成、運用の準備、保守にわたるまで一括して請け負う形態をいう」と定義している。システム・インテグレーターとよばれる請負業者は、システム構築の責任とリスクを負う。システム・インテグレーションは狭義では、情報システム計画に基づいた具体的計画から設計・製作・テストまでのシステム開発をいうが、広義では、狭義のものにさらに運用・保守まで加えたもので、その形態の一つにアウトソーシング(ユーザーが自企業のシステム構築・運用を外部の専門業者に委託すること)がある。1960年代にIBM社に生まれたアメリカ連邦政府のシステム一括発注に対応するシステム部がシステム・インテグレーターの最初である。1980年代に入ると会計監査の大手システム・インテグレーションを積極的に請け負い、業績を伸ばして、その部門が独立してから情報処理サービス産業の一分野へと発展した。日本でも1980年代後半から社会的に認知されている。
[岩田倫典]