HⅡ領域(読み)えいちつーりょういき

日本大百科全書(ニッポニカ)「HⅡ領域」の解説

HⅡ領域
えいちつーりょういき

宇宙空間において、電離された水素が光っている領域電離水素領域ともいう。天文学では電気的に中性の原子をその元素記号にローマ数字のⅠをつけ、1階電離(最外殻電子を一つ失ってイオン化)した原子にはⅡをつけて区別する。水素の場合、中性水素はHⅠ、電離した水素はHⅡとよぶ。HⅡ領域とは、若い高温の恒星から放出された紫外線によってつくられた電離水素が豊富にある領域のことである。領域の大きさは電離させる紫外線の強度によるが、数光年から数十光年程度、質量は太陽の数十倍から数千倍程度、温度は約1万K(ケルビン)である。電離水素を伴う主系列星は恒星のなかでも比較的寿命が短いので、星形成の活動の目安になる。HⅡ領域は内部に多くの恒星を含み、新しい星がつくりだされる「星の揺りかご」と考えられている。HⅡ領域は渦巻銀河や不規則銀河にしか発見されず、楕円銀河(だえんぎんが)にはみつかっていない。その理由は楕円銀河では銀河どうしの衝突によりHⅡ領域が剥(は)ぎ取られたと考えられているからである。われわれの銀河系内で有名なHⅡ領域はオリオン座のオリオン大星雲で、現在も星形成の活発な領域である。

[編集部]

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デジタル大辞泉「HⅡ領域」の解説

エッチツー‐りょういき〔‐リヤウヰキ〕【HⅡ領域】

電離した水素ガスが、近傍の若い大質量星からの紫外線によって励起されて、光を放射している領域。電離水素が再結合する際に赤っぽい輝線(Hα線)を放つ。代表的なHⅡ領域としてオリオン星雲干潟星雲薔薇星雲が知られる。電離水素領域。

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