干潟星雲(読み)ヒガタセイウン

デジタル大辞泉 「干潟星雲」の意味・読み・例文・類語

ひがた‐せいうん【干潟星雲】

射手座南斗六星のやや西にある散光星雲。別名NGC6523またはM8。距離は約3900光年。名称は、南北に筋状の暗黒星雲があり、潮が引いたときの干潟または珊瑚礁に似ていることに由来する。若い高温の星の紫外線によって水素が電離し、赤っぽい輝線(Hα線)を放ち、ところどころ原始星の前段階に相当する密度の濃い分子雲がある。代表的なHⅡ領域の一つ。ラグーン星雲

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「干潟星雲」の意味・わかりやすい解説

干潟星雲
ひがたせいうん

いて座にある散光星雲。南斗六星の柄(え)の先にあり、暗黒星雲が手前を南北に横切ることにより干潟のように見えることから、干潟星雲とよばれる。カタログ番号はM8またはNGC6523。近くに三裂星雲で有名なM20がある。星雲に重なり散開星団のNGC6530があり、その中の星からの紫外線により輝いていると思われる。干潟星雲にはグロビュールとよばれる小さく丸い暗黒星雲の塊がある。グロビュールは分子雲の高密度部分で、自分の重力で収縮して原始星になる直前と考えられている。距離は約5200光年。実視等級は6.0等、視直径は90分×40分程度。8月初旬の午後7時ごろに南東の空に、午後9時ごろに南の空に見える。

[編集部 2022年12月12日]


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改訂新版 世界大百科事典 「干潟星雲」の意味・わかりやすい解説

干潟星雲 (ひがたせいうん)
Lagoon Nebula

M8,NGC6523。夏空のいて座に見られる散光星雲。全体の明るさは6等級で,オリオン星雲に次いで明るく,1680年にすでにグリニジ天文台長J.フラムスティードによって発見されている。3900光年もの距離にあるにもかかわらず大きくて明るい。いて座は天の川の中にあるが,銀河系銀河面に近いところでは星間塵の層があるので,背景光が遮られて暗い。そのような中に干潟星雲があるので,華やかな姿を小さな望遠鏡でもすぐに見つけることができる。この星雲の中央部にも星間塵による吸収によって暗い帯がはしっているのが見られる。この部分が島によって取り残された潟のように見えるので,干潟星雲と呼ばれている。星雲と地球の間にある星間塵の量は少ないので,本来の35′×60′もある雄大な姿になっている。
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百科事典マイペディア 「干潟星雲」の意味・わかりやすい解説

干潟星雲【ひがたせいうん】

いて座にある散光星雲。M8,NGC6523。中央部に,星間塵による光の吸収で生じた暗い帯が走る。距離3900光年。

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世界大百科事典(旧版)内の干潟星雲の言及

【三裂星雲】より

…いて座にある散光星雲。へび座からいて座にかけて,イーグル星雲M16,オメガ星雲M17,三裂星雲M20,干潟星雲M8の四つの明るい星雲が並んでいる。三裂星雲は手前にある星間塵によって吸収されているので,三つに裂けたようになって見えている。…

※「干潟星雲」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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