オリオン座(読み)おりおんざ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「オリオン座」の意味・わかりやすい解説

オリオン座
おりおんざ

冬の宵、南の中天高くかかるもっとも明るく形の整った星座オリオンギリシア神話に登場する巨人狩人(かりゅうど)の名前で、その姿は赤い1等星ベテルギウスと白い1等星リゲル、それにオリオンの帯を表す斜め一列に並んだ三つ星など、5個以上の明るい2等星で形づくられている。三つ星のすぐ南に縦一列に並ぶのが小三つ星で、その中央に肉眼でぼんやり見えるのが、散光星雲として有名なオリオン座大星雲M42である。小望遠鏡でのぞくとトラペジウムとよばれる四重星を中心に、ピンク色を帯びたガス星雲が鳥の翼のような形に広がっている。小型カメラで長時間露出すると、このほかζ(ゼータ)星に近い馬頭星雲や星座の東半分を包むバーナードループなどの淡い星雲を写すことができる。二重星としては、リゲルが角度にして約9秒離れた所に7等星を連れているのが、口径6センチメートル程度の小望遠鏡でもわかる。

[藤井 旭]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「オリオン座」の意味・わかりやすい解説

オリオン座
オリオンざ
Orion

2月上旬の宵に南中する天の赤道上の星座。概略位置は赤経 5時20分,赤緯 3°。オリオンはギリシア神話の猟師の名。明るい星が多く,赤色のα星ベテルギウス白色のβ星リゲルはともに全天最輝星で,これとγ星ベラトリックスおよびκ星でみごとな四辺形をつくり,その中央にオリオンの帯にあたる三つ星が並ぶ。三つ星はほぼ天の赤道上にある。三つ星の南,オリオンの剣にあたる部分は,肉眼でも見えるオリオン大星雲(M42,NGC1976)を含む。オリオン大星雲の中心にあるθ1星は生まれたばかりの非常に若い高温の四重星でトラペジウム(不等辺四辺形)と呼ばれ,この星雲を発光させている。さらにこの星雲中には多くのおうし座T型不規則変光星が含まれている。星雲までの距離は約 1500光年で,電波赤外線でも観測されている。ほかに,三つ星の左端近くに馬頭暗黒星雲(→馬頭星雲)がある。写真観測から,オリオン座全体がかすかな星雲で包まれていることがわかる。

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