化学辞典 第2版 「L-アスコルビン酸」の解説
L-アスコルビン酸
アスコルビンサン
L-ascorbic acid
C6H8O6(176.13).ビタミンCともいう.抗壊血病性ビタミン.D-アスコルビン酸にはその効力がない.動物,植物の成長,代謝の盛んな部分に多く含まれ,植物ではシイタケ,トウガラシ,かんきつ,緑茶など,動物では副腎,下垂体,眼房水中に安定した状態で存在する.工業的には,L-ソルボースをジアセトン化後酸化して大量につくられている.板状または針状晶.融点190~192 ℃.+20.5~+21.5°(水).pK1 4.25,pK2 11.57(25 ℃).λmax 245 nm(ε 1.22×10-4,水),265 nm(ε 1.66×10-4,pH 6.4),297.5 nm(ε 0.63×10-4,0.1 mol L-1 水酸化ナトリウム).エタノールに可溶,ほかの有機溶媒に不溶.光によって徐々に着色する.熱に弱い.還元力が強く,酸化還元電位は+0.34 V(pH 7).容易に酸化され,ラジカルを経由してデヒドロ形になるが,これは生理活性をもち,硫化水素のような弱い還元剤でもとに戻る.その定量には,2,6-ジクロロインドフェノール(酸化剤)が用いられ,0.01 mL の血清中の含量でも十分に定量できる.その可逆的な酸化還元系を介して,生体内酸化還元作用に関与して,水素伝達系酵素を助けていると考えられ,コラーゲンの生成,タンパク質代謝,貧血,血液凝固,糖質および脂質代謝,内分泌機能など多数の生理的機能に関与している.成人の必要量は50 mg d-1,必要最低量は5~10 mg d-1 である.[CAS 50-81-7]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報