日本大百科全書(ニッポニカ) 「SPレコード」の意味・わかりやすい解説
SPレコード
えすぴーれこーど
standard playing recordの略称。回転数は1分間78回転で、曲率半径2.5ミル(63.5マイクロメートル)の再生針に対応する音溝(おとみぞ)をもつレコード。直径25および30センチメートルが標準で、30センチメートルの場合、演奏時間は片面約5分である。鋼鉄製の再生針を使うため、その硬さに耐えられるよう、硬度の高い材料が必要であった。この要求を満たすものとして、酸化アルミニウムや硫酸バリウムの粉末をセラック(動物性の天然樹脂。シェラックともいう)と混合した材料を用いた。硬度は高かったが、もろいためレコードを落下させたり針を乱暴にレコード面に当てたりすると割れたり損傷したりする欠点があり、取扱いに注意が必要であった。長い間レコードの主流として広く使われ、名称もその実績に由来する。しかしLPレコード、EPレコードの開発以後、主流の座をこれらに譲り、国内での生産は1970年(昭和45)ころをもって終了している。
[吉川昭吉郎]