BYOD(読み)びーわいおーでぃー

日本大百科全書(ニッポニカ) 「BYOD」の意味・わかりやすい解説

BYOD
びーわいおーでぃー

従業員が私物の情報携帯端末(スマートフォンなど)を企業に持ち込み、業務に使用すること。Bring Your Own Deviceの頭文字を取ったもので、アメリカやオーストラリアなどでワインなど飲み物の持ち込みができるレストランで掲げているBYO(Bring Your Own)や、パーティーの招待状に書かれる「飲み物各自持参」という意味のBYOB(Bring Your Own Bottle/Booze/Beer)を言い換えたことばである。

 従来、業務で使う事務機器や情報機器は、企業側が用意して支給するのが一般的であった。そのため、たとえば携帯電話では、企業側は端末の手配や通信費の負担が必要であり、従業員は会社と個人の携帯電話をそれぞれ持ち歩かなければならないという不便さがあった。それに対して、BYODには企業側のコスト削減や、従業員の利便性向上、情報管理の一元化による生産性の向上、通勤時間の有効活用、在宅や出張時でのテレワークの実現といったメリットがある。そのため、欧米や韓国、中国などではBYODが導入されており、日本の企業でも次第に利用が進んでいる。

 一方で、個人で使う情報端末にはさまざまな種類や機能があるため、どの端末からでも企業のデータベースにアクセスして情報を入手できるよう、特定アプリケーションや端末性能に依存しない、クラウド化も含めた企業の情報システム側での対応が不可欠となる。また、職位や業務時間などによるアクセス制限やフィルタリングセキュリティやウイルス対策、情報漏洩(ろうえい)、端末の紛失盗難への対応なども、企業側に求められる。その他、企業が個人の端末を利用することになるため、通信履歴などのプライバシーの保護や故障時の保証問題なども指摘されている。

[編集部]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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