精選版 日本国語大辞典「私物」の解説
わたくし‐もの【私物】
〘名〙
① 私有の物。自分の物。個人の所有物。しぶつ。⇔公物(おおやけもの)。
※書紀(720)清寧二年一一月(図書寮本訓)「奉養(ひたしまつ)ること甚だ謹みて私(わたくしモノ)を以て供給(たてまつ)る」
② 表向きにせず内々で大切にしまっておく物。秘蔵の物。
※落窪(10C後)一「さて心に任せでおはすらんよりは、わたくし物にて、我が所に住ませ奉らん」
③ 世間に公表する正式な妻に対して、内々にしている隠し妻。
※狭衣物語(1069‐77頃か)二「侮らはしきわたくし物にて、常に見扱ひて、心を慰めましものを」
④ 男根。陰茎。
※玉塵抄(1563)二二「はだかでわたくしものなどだいてあるかれば」
し‐ぶつ【私物】
〘名〙 個人が所有している物品や財産。私有の物件。私財物。しもつ。
※律(718)逸文・雑闌遺物条「得二闌遺物一満五日不レ送レ官者、各以二亡失罪一論。私物坐レ臓論、減二二等一」
※立憲政体略(1868)〈加藤弘之〉国民公私二権「天下を以て君主貴顕の私物となすことなく」
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