知恵蔵 の解説
Galaxy Note7 発火・爆発問題
Galaxy Note7は、指紋認証の他に、虹彩認証、防水、防塵にも対応したモデルで、専用のペンでは、4096段階の感圧検知に対応するなど、発売前から海外で高い評価を得ており、同年9月16日に発売されたアップルの新型スマートフォン「iPhone7」のライバル製品として注目されていた。
しかし、発売直後から、充電中にバッテリーが発火する事故が続発。米国では、充電中の発火により、車庫や車が燃える被害もあり、世界中の航空会社では、航空機内でGalaxy Note7の利用や充電禁止等をアナウンスするといった異例の事態となった。
サムスン電子は、9月上旬にGalaxy Note7の販売を中止し、米国、韓国、カナダなど世界10カ国で約250万台を自主回収すると発表した。
更に、同社は、バッテリーの製造元を変更し、無償で新品のバッテリーと交換するプログラムを開始し、交換後のバッテリーか否かが、一目で分かるスマートフォン上の表示も行った。
ところが、10月5日(現地時間)米サウスウエスト航空で、バッテリー交換済みのGalaxy Note7が機内で発火し、緊急避難する事故が起こった。他にも、交換済みの製品が発火したという報告が相次ぎ、再び安全性が疑問視されたため、サムスン電子は同機器の生産と販売の中止を発表した。
これらの問題を受け、当初Galaxy Note7を新商品のラインナップに入れることを検討していたドコモなどは、日本国内での販売を見送っている。
なお、10月14日、サムスン電子は、Galaxy Note7の販売機会が失われることによる損失が2016年10~12月期から2017年1~3月期にかけて、3兆ウォン(約2700億円)台になる見通しだと明らかにしている。
(横田一輝 ICTディレクター/2016年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報