日本大百科全書(ニッポニカ) 「PERT」の意味・わかりやすい解説
PERT
ぱーと
program evaluation and review techniqueの略。プロジェクトの進行を数学的に表現し、しばしばコンピュータを利用して管理を実施する、日程計画・管理のための技法の一種。1958年アメリカ国防総省でポラリス潜水艦用ミサイル開発のスケジュールを管理するために初めて適用されたことで有名である。PERTにおけるプロジェクトとしては研究開発、構造物の建設、催し物の開催準備など、さまざまなものが対象となる。プロジェクトを最小単位の要素作業に分け、要素作業間の実行順序を矢線図(アローダイヤグラムarrow diagram)に表現する。そして矢の長さと要素作業の所要予定日数(または時間数)を対応させる。予定日数に不確定要素を含む場合は、最長・最短の見積りと、確率分布を与える。PERTでは、この矢線図の情報に基づいて、プロジェクト全体の所要日数またはその確率分布、日程の制約となっている要素作業、その他の要素作業の余裕度などをコンピュータにより計算し、緊急度の高い作業を優先的に進捗(しんちょく)させるように管理する。建造物の建設などにPERTはよく利用されており、大規模なダムの建設などには数千の要素作業をもった矢線図が必要といわれている。
PERTの拡張としては、作業が集中するときどのような資源をどれだけ必要とするか(土木作業ならダンプカーやクレーンなど)、資源に制約がある場合は日程をどのように組むのがいちばん遅れを少なくできるかを計画する資源制約型PERT、プロジェクト全体の日程を短縮したい場合、どの要素作業にどれだけ上積み経費をかけて作業日数を短縮すればよいかなどの計画を行うCPM(critical path method)などがある。
[小野勝章]