複数台のハードディスクを並列に接続し、大容量ハードディスク1台のように利用する技術。Redundant Arrays of Inexpensive(Independent)Disksの略。データの読み出しや書き込みが分散して行われるため、高速化と耐障害性を高めることができる。RAIDは2種類に大別され、複数のハードディスクをOS内では1台に見せかけて扱うソフトウェアRAIDと、RAID専用の独立した制御装置にハードディスクを複数台接続し、その装置を1台のハードディスクとして見なすハードウェアRAIDがある。
さらに、RAIDには複数のハードディスクへデータを割り振る方法やシステムの構成、技術の組合せ方などによっていくつかのレベルがある。おもに使用されているものは以下の六つである。(1)RAID0 複数台のハードディスクにデータを均等に分散し、同時記録を行う方法で、読み出しや書き込みを高速に行うことができる。この方法をストライピングstripingともよぶ。大容量化も実現しているが耐障害性はない。(2)RAID1 同じデータを複数台のハードディスクへ同時に記録する方法で、1台が故障しても他のディスクでデータの読み書きができる。ミラーリングmirroringともいう。耐障害性を高めるもので、大容量化、高速化は考慮されない。(3)RAID1+0 RAID1の安全性を重視したデータの二重記録と、RAID0の高速化を組み合わせた方法である。最低でも4台のハードディスクが必要。(4)RAID5 複数台のハードディスクに記録されるデータとともに、記録したデータの信頼性を高めるため、パリティデータ(誤り訂正符号)というコードを付加して書き込む方法。パリティデータは複数のハードディスクに分散して配置され、本来のデータが読み出される際に誤りがあれば訂正される。最低でも3台のハードディスクが必要。(5)RAID5+0 RAID5で使用する複数台のハードディスクのグループを並列に複数設置することで、RAID5の信頼性とRAID0のデータを分散した高速処理を同時に実現する方法。必要なハードディスクは6台以上。(6)RAID6 RAID5でハードディスクが2台同時に故障した場合に復旧できなくなる弱点を克服した方法である。同じパリティデータを二つ生成し、それぞれを異なるハードディスクに分散させることによって、いっそう耐障害性を高めている。4台以上のハードディスクを要する。
[編集部]
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(斎藤幾郎 ライター / 2007年)
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… ハードディスクは磁気記憶媒体のなかでは最も高速だが,図2からわかるように半導体メモリーとのあいだにはアクセス時間に大きな差があり,さらにその差が拡大しようとしている。この差を埋めるため,あるいは信頼性を高めるために,複数のディスクに情報を分散して記憶するRAIDが使われているが,今後さらに普及するだろう。また,CPUの急速な高速化に比べると,ハードディスクだけでなくDRAMのアクセス時間もそれほどは短縮していない。…
…汎用並列コンピューターはこれまでCRAY-1に代表されるパイプライン型のベクトルコンピューターが用いられてきたが,高性能なマイクロプロセッサーが安価に供給されるようになってきたので,これらを多数(大規模なシステムで数千個)相互結合網でつなぐマルチプロセッサー,さらにはLANが非常に高速(100Mbps以上)になってきたので,LAN上の多数のPCやWSを利用したネットワークコンピューターなどが利用できる。専用並列コンピューターは,画像処理(画像圧縮など),グラフィックス処理,信号処理,CAD,データベース(ソーティングやRAIDなど),人工知能(ニューロコンピューター,推論コンピューターなど)などで利用できる。応用向きの特殊な回路で高速化,省電力化できるので,グラフィックスなど大量の利用が見込める応用では,WSやPCにもアクセラレーターとして組み込まれている。…
※「RAID」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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