日本歴史地名大系 「徳島市」の解説 徳島市とくしまし 面積:一九一・二三平方キロ県東部のほぼ中央部にある。東は紀伊水道に面し、北は板野(いたの)郡松茂(まつしげ)町・北島(きたじま)町・藍住(あいずみ)町、西は名西(みようざい)郡石井(いしい)町・神山(かみやま)町、南は名東(みようどう)郡佐那河内(さなごうち)村・勝浦(かつうら)郡勝浦町、南東は小松島市に接する。市域北東部、吉野川河口部一帯には市街地が形成され、その北側を吉野川が南岸に飯尾(いのお)川・鮎喰(あくい)川を合せながらほぼ東流して紀伊水道に落ちる。北東境を蛇行しながら東へ流れる今切(いまぎれ)川も紀伊水道に注ぐ。市街地を田宮(たみや)川・新町(しんまち)川・助任(すけとう)川などが網の目のように流れて新町川に一本化し、佐那河内村から北東流してきた園瀬(そのせ)川を合せて紀伊水道に入る。河口部沖洲(おきのす)地区には徳島港がある。南部を八多(はた)川など支流を合せながら北流してきた勝浦川は論田(ろんでん)町付近で向きを東へ転じ、新町川河口部の南方で紀伊水道に注ぐ。鮎喰川・田宮川・新町川の南側と園瀬川北側との間、市域ほぼ中央には北東から南西へ眉(び)山山系が横たわり、南部は剣(つるぎ)山地の東端丘陵部となっている。市街地ほぼ中央にある徳島駅からは北へJR高徳線、西にJR徳島線、南にJR牟岐線が延び、吉成(よしなり)・佐古(さこ)・蔵本(くらもと)・府中(こう)・富田(とみだ)・二軒屋(にけんや)・地蔵橋(じぞうばし)などの駅が設けられている。東部を国道一一号・五五号が縦断し、吉野川北岸を東西に四国縦貫自動車道が通る。〔原始〕旧石器時代の遺物としては、名東遺跡でナイフ形石器一点が発見されている程度である。縄文時代の遺跡としては、城(しろ)山山麓の城山(しろやま)貝塚、南佐古(みなみさこ)の三谷(みたに)遺跡、庄(しよう)地区の庄遺跡、名東地区の名東遺跡、矢野(やの)地区の矢野遺跡などがあげられる。一般国道一九二号徳島南環状道路建設に伴う矢野遺跡からは、縄文時代後期の土製仮面や朱の精製などに使用したと想定される石杵や朱付着の土器などが発見されている。三谷遺跡では縄文犬や縄文時代最後の土器と弥生時代初頭の土器が共伴し、縄文文化と弥生文化との出会いが認められる。弥生時代になると、鮎喰川下流域の微高地上を中心に、三谷・庄・名東・矢野の各遺跡だけでなく、南庄(みなみしよう)地区や鮎喰地区などでも大規模な集落が成立していた。庄遺跡は木偶や剣形木製品等の祭祀具等の豊富な木製品、名東・矢野の各遺跡では方形周溝墓の一般化と朱の精製など、南庄遺跡では石器の製作と金属製品の採用や多量の土器などが特徴である。また弥生時代を特徴づける遺物である銅鐸は伝世品を含めると八遺跡から二〇口が出土したことが知られ、徳島県下出土数の半数近くが出土したことになる。中広形銅剣が伴出した国府町西矢野(こくふちようにしやの)源田(げんだ)遺跡の三口、上八万(かみはちまん)町星河内美田(ほしごうちみた)遺跡の七口、入田(にゆうた)町安都真(あづま)遺跡の四口と、複数埋納の遺跡も多い。 出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報 Sponserd by
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「徳島市」の意味・わかりやすい解説 徳島〔市〕とくしま 徳島県北東部,紀伊水道に面する市。 1889年市制。 1951年多家良 (たから) 村,勝占 (かつうら) 村,95年新居 (にい) 町,上八万 (かみはちまん) 村,川内 (かわうち) 村と入田 (にゅうだ) 村の一部,66年応神 (おうじん) 村,67年国府 (こくふ) 町をそれぞれ編入。県庁所在地。北部は吉野川下流の三角州,南部は丘陵性の山地を占める。江戸時代,蜂須賀氏 25万石の城下町として発達。また,阿波特産アイ (藍) の集散地としてにぎわった。市の東部は工業地区で,造船業,綿織物業,金属工業のほか,鏡台,たんすなど木工業が行われる。浄瑠璃で有名な阿波十郎兵衛屋敷跡,日本を愛した文学者モラエスの墓などがある。蜂須賀氏の築城を祝って住民たちが踊ったのが起源といわれる阿波踊は特に有名。眉の形をした眉山 (びざん) は,中世までは聖なる山,次いで城下町防御の拠点とされたが,現在は観光地となっている。旧徳島城表御殿庭園は名勝。市域には四国八十八ヵ所の第 13番札所大日寺,第 14番札所常楽寺,第 15番札所国分寺,第 16番札所観音寺,第 17番札所井戸寺がある。市街地の南方にある丈六寺の本尊聖観世音菩薩は重要文化財。西部は東山渓県立自然公園に属する。 JR高徳線,徳島線,牟岐線の起点。国道 11号線,55号線,192号線,438号線が通じる。徳島港から阪神,和歌山,東京,小倉へフェリーが運航する。面積 191.39km2。人口 25万2391(2020)。 出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報 Sponserd by