日本大百科全書(ニッポニカ) 「WCC」の意味・わかりやすい解説
WCC
だぶりゅーしーしー
World Council of Churches
世界教会協議会World Council of Churchesの略称。スイスのジュネーブに本部をもち、世界のキリスト教会の一致のための運動(エキュメニカル運動)を展開している。WCCの創設は、第二次世界大戦前から準備されていたが、戦争のため延期され、1948年オランダのアムステルダムにおいて創立総会を開いた。以来、第2回は54年にアメリカのイリノイ州エバンストンにおいて、第3回は61年にインドのニュー・デリーにおいて、第4回は68年にスウェーデンのウプサラにおいて大会が開かれ、第5回大会は75年にケニアのナイロビで、第6回は83年カナダのバンクーバーで開かれた。
1948年の創立総会のときは48か国から147教会の参加をみたが、78年には90か国から293の教会が参加して、その会員数は約4億人に及んだ。当初は、西欧諸国の諸教会が主たる構成員であったが、61年の第3回大会より、ロシア正教会をはじめ共産圏の諸教会や、アジア、アフリカ、南米の諸教会が参加するようになっている。68年から中央委員長にはインドのM・M・トーマス、72年から第3代の総幹事にジャマイカ出身のフィリップ・ポーター、84年からウルグアイ出身のエミリオ・キャステロが選出されたのをはじめ、主要部門の担当者に発展途上国の人々が多く活躍している。またエキュメニカル運動に画期的役割を果たした第二バチカン公会議(1962~65)以後、WCCとローマ・カトリック教会とは密接な関係をもって、研究と実践が協力してなされつつある。
[竹中正夫]