国境なき医師団(読み)コッキョウナキイシダン(その他表記)Médecins Sans Frontières フランス語

デジタル大辞泉 「国境なき医師団」の意味・読み・例文・類語

こっきょうなき‐いしだん〔コクキヤウなき‐〕【国境なき医師団】

ボランティアの医師・看護師を中心に、地震、洪水、戦争、飢餓などが発生した場合、世界中のどこでもかけつけて被災者や難民の緊急医療活動にあたる団体。1971年フランスで創設。日本をはじめ世界19か国に支部があり、スイスに各支部の連絡調整機関としてMSFインターナショナルがある。1999年ノーベル平和賞受賞。MSF(Médecins Sans Frontières)。

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共同通信ニュース用語解説 「国境なき医師団」の解説

国境なき医師団(MSF)

フランスの医師らが1971年に結成した民間で非営利の緊急医療援助団体。紛争や自然災害、貧困などで危機に直面する人々の援助に当たる。医師団のホームページによると、2020年は88の国・地域で約4万5千人のスタッフが活動。日本からも30カ国・地域に75人の派遣実績があった。資金はほぼ民間からの寄付で、中立の立場を掲げる。スイスに調整機関の国際事務所を置き、日本を含む世界各地に38事務局がある。99年にノーベル平和賞を受賞した。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「国境なき医師団」の意味・わかりやすい解説

国境なき医師団
こっきょうなきいしだん
Médecins Sans Frontières フランス語

民間の医療・人道援助を目的として、国際的に組織された非営利の民間機関(NGO非政府組織)。具体的には、世界各地において戦災天災、飢餓などで苦しむ人々の医療救護活動を行う。略称MSF。

 1968年にビアフラ戦争ナイジェリア戦争)時の飢餓救済活動に参加した医師たちによって1971年に結成された。2009年現在、19か国に支部が置かれ、年間4600人以上の医師・看護師などが世界65か国で援助活動を行っている。日本には1992年(平成4)に事務局が置かれ、1997年からは支部となった。1999年に東京都から特定非営利活動法人として認められ、2002年には認定特定非営利活動法人(認定NPO法人)として国税庁の認定を受けた。北朝鮮アフガニスタンでも活動を行っていたが、北朝鮮では政府から厳しい活動制限を受け1998年に撤退、アフガニスタンでは2004年にスタッフが数名殺害されたことをきっかけに撤退した。その活動資金は、市民からの醵金(きょきん)のほか、ヨーロッパ連合EU)、国連難民高等弁務官事務所UNHCR)からの資金提供も受けている。日本支部の所在地は、東京都新宿区。1999年ノーベル平和賞を受賞した。

宮崎繁樹

『国境なき医師団日本編『国境なき医師団 活動報告』(1998・国境なき医師団日本)』『ロニー・ブローマン著、高橋武智訳『「明日への対話」人道援助、そのジレンマ――「国境なき医師団」の経験から』(2000・産業図書)』『国境なき医師団日本監修、早乙女勝元・山本耕二編『写真絵本 国境なき医師団』全6巻(2005~06・大月書店)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「国境なき医師団」の意味・わかりやすい解説

国境なき医師団
こっきょうなきいしだん
Médecins Sans Frontières; MSF

非営利の国際的な民間医療・人道援助団体。1971年,フランス赤十字社の対外救護活動に参加した青年医師らがパリで結成した。戦災や天災の際に医師の救助を必要とする人々がいれば,だれからも干渉や制限を受けることなく,人種や政治,宗教にかかわらず国境を突破してでも救援に赴くという活動方針に特色がある。これは赤十字の活動への批判でもあった。MSFの運動は国外にも広がり,1980年代にスイス,ベルギー,オランダ,ルクセンブルク,スペインで支部が発足,さらにカナダとアメリカ合衆国にも事務局が置かれ,1992年には日本にも事務局(1997支部)が開設された。2008年現在,世界 19ヵ国に支部をもつ。MFSは 48時間以内に赴援できる態勢を整えており,その緊急出動時の携帯品目は世界保健機関 WHOも注目するところとなり,世界最大の国際的緊急医療団体に成長した。本部は置かず,スイスに各支部の連絡調整機関の MSFインターナショナル(1990発足)が置かれている。1999年ノーベル平和賞を受賞。(→非政府組織

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百科事典マイペディア 「国境なき医師団」の意味・わかりやすい解説

国境なき医師団【こっきょうなきいしだん】

フランス語でMedecins sans Frontiers(略称MSF),英語でDoctors without Borders。1968年ビアフラ(ビアフラ戦争)に派遣された医師と1969年東パキスタンに派遣された医師が帰国後,これまでの限界を超えた緊急医療援助団体として,1971年にフランスで結成。天災・戦争などあらゆる災害に苦しむ人びとに,宗教・思想・政治体制の別なく,迅速に医療援助を提供することを目的とする。反政府勢力の支配地域など,従来国際赤十字などが活動を展開できない地域でも活動を行う。本部はパリ。1999年ノーベル平和賞。
→関連項目ノーベル平和賞

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知恵蔵 「国境なき医師団」の解説

国境なき医師団

ブリュッセルに国際事務局本部を置き、世界19カ国に支部を持つ国際医療ボランティア団体。1968年のビアフラ飢餓救済活動に参加した医師らを中心に、71年に結成された。フランスほか欧州を中心に、15カ国の医師や看護師約6000人が登録している。92年に日本にも事務局が設置された。戦災地、難民キャンプ、自然災害被災地等での救助にあたるほか、イラン・イラク戦争ではイラクの毒ガス使用の調査もした。平均して毎年、60〜80カ国に2000〜3000人を派遣している。年間3億ユーロ前後の予算の約80%は市民からの寄付、残りは欧州連合(EU)及び国連難民高等弁務官事務所からの資金提供で賄う。類似団体として、80年に結成され、パリに本部を置く世界の医師団(MDM、約2500人)がある。

(最上敏樹 国際基督教大学教授 / 2007年)

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