アイベックス(英語表記)ibex
Capra ibex

デジタル大辞泉 「アイベックス」の意味・読み・例文・類語

アイベックス(ibex)

高山岩場にすむ野生ヤギ総称。アルプスアイベックス・シベリアアイベックスなど。角は、雄のものは大きくて後方に湾曲し、表面に竹のような節がある。

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精選版 日本国語大辞典 「アイベックス」の意味・読み・例文・類語

アイベックス

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] Ibex ) 偶蹄目ウシ科ヤギ亜科の哺乳類。体長一五〇センチメートル前後。角は前面によく目立つうねが並び、後方に大きく湾曲して雄では長さ一メートル以上に達する。雌は二〇センチメートル程度。体色は褐色だが、地方により濃淡の差が大きい。ヨーロッパのアルプス山脈ピレネー山脈のほか、西アジアや北アフリカの山岳地帯にも分布。高山の岩場に雌と子どもからなる群で生活する。雄は単独性で、繁殖期にのみ群に加わる。家畜のヤギと容易に雑種ができるが、家畜ヤギの原種は本種ではなく近縁パサンノヤギ)とされている。

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改訂新版 世界大百科事典 「アイベックス」の意味・わかりやすい解説

アイベックス
ibex
Capra ibex

偶蹄(ぐうてい)目ウシ科の哺乳類。ユーラシアとアフリカの山岳地帯にすむ大きな角をもつ野生のヤギ。家畜ヤギの祖先であるノヤギの近縁種。角は大きな弧を描いてのび,先端は後方を向く。リング状の隆起が並ぶのが特徴で,雄では長さ70~140cmになる。雌の角は小さく,15~38cm。肩高65~105cm。体重35~150kg。エジプトスーダンのヌビアアイベックス,エチオピアのアビシニアアイベックス,ヨーロッパアルプスのアルプスアイベックス,シベリアアイベックスなどの亜種に分かれる。いずれも急峻な岩場に好んですみ,森林帯に入ることはほとんどない。ヨーロッパアルプスでは標高3500mの高所にまで見られる。

 ふつう雄雌別々の群れで暮らす。12月から1月にかけての発情期には,雄は角を打ちつけあって順位闘争を行い,勝者が雌群に加わる。妊娠期間5~6ヵ月で,5~6月に1子が生まれる。雄の子は2~4歳で雌群を離れ,雄群に加わる。
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世界大百科事典(旧版)内のアイベックスの言及

【ヤギ(山羊)】より

…【山下 正男】【谷 泰】。。…

【ヤギ(山羊)】より

… このほか家畜ヤギとは関係はないが,ヤギ属に属する野生ヤギとして次の2種が現存している。(1)アイベックスibex(C.ibex)(イラスト)大きな角をもつ灰褐色から茶色の毛色の野生ヤギで,産地により数亜種に分けられ,角の形,毛色に違いがある。(2)ツールtur(C.caucasica)カフカスとヨーロッパ・ロシア南東部に分布する野生ヤギで,角は丸みをもち,外後方へねじれて伸びている。…

【ヤギ(山羊)】より

… このほか家畜ヤギとは関係はないが,ヤギ属に属する野生ヤギとして次の2種が現存している。(1)アイベックスibex(C.ibex)(イラスト)大きな角をもつ灰褐色から茶色の毛色の野生ヤギで,産地により数亜種に分けられ,角の形,毛色に違いがある。(2)ツールtur(C.caucasica)カフカスとヨーロッパ・ロシア南東部に分布する野生ヤギで,角は丸みをもち,外後方へねじれて伸びている。…

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