ソ連邦の民俗学者。フォークロアの理論ならびに歴史の問題を研究対象とし,《民話の形態学》(1928)や《魔法民話の史的根源(魔法昔話の起源)》(1946)では,インド,ヨーロッパの民話の構造,起源,初期の歴史を扱っている。ことにロシア・フォルマリズムの影響が看取される《民話の形態論》は,1960年前後にレビ・ストロースらによって構造分析の先駆として高く評価され,民話に限らず,フォークロア一般,さらには人類学,言語学,文学研究にも影響をあたえた。また,英雄叙事詩や儀礼その他の比較歴史的研究に関しては《ロシア英雄叙事詩》(1955)や《ロシアの祭り》(1965)があり,フォークロア一般の特質や現実との関係についても一連の著作を残している。そのほか,《おかしみと笑いの問題》(1976)を代表作とする〈笑い〉論も重要である。
執筆者:桑野 隆
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…フォークロア研究で最も盛んなのは民間説話(神話,伝説,昔話等)の研究である。この分野での最重要の業績の一つは,ソ連のプロップV.Ya.Proppによる《民話の形態学》(1928)である。彼の構造的・形態学的方法は説話研究に新しい次元を開き,レビ・ストロースの構造論的神話研究とともに,現在のフォークロアにおける説話研究に大きな影響を与えている。…
…彼は散文がメトニミー(接近連合)を,詩がメタファー(類似連合)を志向することを明らかにし,さらに両者が言語の二大原理をなし,文化のタイプにも関係あることを解明した。そのほか,S.エイゼンシテインはモンタージュ論により映画の詩学の道を切り開き,V.Ya.プロップは魔法昔話の一般構造式を定式化している。 M.M.バフチンはフォルマリズムのように異化の手法を絶対視せず,共創造・再創造の理論を提起した。…
…フォークロア研究で最も盛んなのは民間説話(神話,伝説,昔話等)の研究である。この分野での最重要の業績の一つは,ソ連のプロップV.Ya.Proppによる《民話の形態学》(1928)である。彼の構造的・形態学的方法は説話研究に新しい次元を開き,レビ・ストロースの構造論的神話研究とともに,現在のフォークロアにおける説話研究に大きな影響を与えている。…
…しかし,日本の昔話は,その理論をもってしては説明しきれない部分をもつことも事実なので,その面の研究には将来性があると考えられる。
[構造]
昔話のなかに構造を見いだし,多様な外観にもかかわらず,構造に一定の共通性があることを発見したのは,ソ連のV.Ya.プロップであった(1928)。プロップは,アファナーシエフAleksandr Nikolaevich Afanas’ev(1826‐71)が〈魔法昔話〉と分類した100話について構造を分析し,個々の行為とそれが話のすじの展開に対してもつ意義とを区別し,後者を機能とよんだ。…
…そして〈物語の構造分析には言語学そのものを基礎モデルとして与えるのが理にかなっている〉(R.バルト《物語の構造分析序説》1966)と考える。この方向での研究の早い例は,ソ連の民話学者プロップの《民話の形態学》(1928)であるとされている。彼はロシアの数多くの民話を分析することによって,そこに登場する人間その他が果たす機能には共通性があることを発見した。…
※「プロップ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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