芝居で幕の内側のこと、また幕の閉まっている間(幕間(まくあい))のことをいう。さらに幕間に食べる弁当のことを幕の内弁当、略して幕の内ともいう。俵形の握り飯とおかずを重箱(じゅうばこ)、折り箱などに詰め合わせたもので、近年は劇場のほか駅や列車内などでも売っている。江戸末期の風俗志『守貞漫稿(もりさだまんこう)』の「雑劇」芝居茶屋の項に、「中飯(ちゅうはん)(昼食) 江戸は幕の内と号(なづけ)て円扁平(へんぺい)の握り飯十顆(か)を僅(わずか)に焼之也。添之に焼鶏卵蒲鉾(かまぼこ)こんにやく焼豆腐干瓢(かんぴょう)以上是(これ)を六寸重箱に納(い)れ人数に応じ観席に持運ぶ……」とある。当時、日本橋には芝居用幕の内弁当の専門店として有名な萬久という店があり、『江戸名物狂詩撰(えどめいぶつきょうしせん)』にも「萬久の煮しめ」と題する詩が載っている。
[多田鉄之助]
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