挟み箱(読み)ハサミバコ

デジタル大辞泉 「挟み箱」の意味・読み・例文・類語

はさみ‐ばこ【挟み箱】

武家公用外出する際、供の者にかつがせる物品箱。長方形の箱の両側に環がついていて、それにかつぎ棒を通したもの。

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精選版 日本国語大辞典 「挟み箱」の意味・読み・例文・類語

はさみ‐ばこ【挟箱】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 近世、武家の公用の外出に際して必要な調度装身具を納めて従者にかつがせた箱。挟竹にかわって用いられるようになった長方形の浅い箱で、ふたに棒を通してかつぐようにしたもの。〔日葡辞書(1603‐04)〕
    1. <a href=挟箱〈大和耕作絵抄〉" />
      挟箱〈大和耕作絵抄〉
    2. [初出の実例]「供奉の人々も具足・甲を挟箱に隠し入れ」(出典:太閤記(1625)一七)
  3. はさみばこかぜ(挟箱風)」の略。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「挟み箱」の意味・わかりやすい解説

挟み箱
はさみばこ

江戸時代の携行用の担い箱。主として武家が大名行列、登城など道中や外出をするとき、着替え用の衣類や具足を中に入れて、従者に担がせた黒塗り定紋付きの木箱。上部に鐶(かん)がついていて、これに担い棒を通して肩に担ぐ。古くは挟み竹といって、二つに割った竹の間に衣類を畳んで挟み、肩に担いで持ち歩いたが、安土(あづち)桃山時代になると、箱に担い棒を通した形に改良された。江戸時代には、武家調度の必需品とされ、一方、民間でも商家の主人が年始回りなどに、年玉の扇を挟み箱に入れ、鳶(とび)人足に持たせたり、町飛脚などが飛脚箱として用いた。また明治初年には、郵便集配や新聞配達もこれを用いた。

[宮本瑞夫]

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