満を持す(読み)まんをじす

精選版 日本国語大辞典 「満を持す」の意味・読み・例文・類語

まん【満】 を=持(じ)す[=搾(しぼ)る]

① 弓を十分引きしぼって、そのまま構える。転じて、準備を十分にして時機の来るのを待つ。
日本外史(1827)一六「艦上列卒、張弓持満擬之」 〔漢書周亜夫伝〕
物事極点に達したまま持ちこたえる。〔史記‐越王勾践世家〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

故事成語を知る辞典 「満を持す」の解説

満を持す

準備を十分にして、チャンスを待つことのたとえ。

[使用例] 毛利秀元軍、吉川広家軍、併せて一万六千の軍勢は、天満山の狼火のろしを無視したかのように、満を持したまま寂として動こうとはしていない[松本利昭*春日局|1988]

[由来] 「史記しゅうぼつ世家」に載っている話から。紀元前二世紀、前漢王朝の時代、北方の異民族に備えて警備をしているしゅうという将軍のところへ、皇帝が直々に、激励のために訪れたことがありました。来てみると、兵士たちはきちんとよろいを身につけ、剣は研ぎ澄ましてあり、石を飛ばすための弓は「満を持して(引き絞っていつでも発射できるようにして)」あるという状態。ところが、皇帝がいかに門番の兵士に命令しても、陣営の中には入れてくれません。なぜならば、戦場では将軍の命令だけを聞くように、周亜夫が兵士たちを厳しく訓練してあったからだった、ということです。

出典 故事成語を知る辞典故事成語を知る辞典について 情報

今日のキーワード

排外主義

外国人や外国の思想・文物・生活様式などを嫌ってしりぞけようとする考え方や立場。[類語]排他的・閉鎖的・人種主義・レイシズム・自己中・排斥・不寛容・村八分・擯斥ひんせき・疎外・爪弾き・指弾・排撃・仲間外...

排外主義の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android