能楽に取材した三島由紀夫の一幕戯曲の総称。1950年(昭和25)に発表し同年文学座アトリエで初演された『邯鄲(かんたん)』を皮切りに、『綾(あや)の鼓(つづみ)』(1951)、『卒塔婆小町(そとばこまち)』(1952)の3作が発表され、ついで54年から60年にかけて『葵上(あおいのうえ)』『班女(はんじょ)』『道成寺(どうじょうじ)』『熊野(ゆや)』『弱法師(よろぼし)』の順で計8作品が発表された(1962年発表の『源氏供養』は作者自身このシリーズに加えていない)。いずれも同名の謡曲に取材し、劇的な時間、空間の象徴的処理にみられる能の劇構造上の特質をそれぞれ生かしながら、時代を敗戦後の現代にとり、人物や台詞(せりふ)を現代化し、作者独自の美的主題を展開したところに特色がある。その点、森鴎外(おうがい)の『生田川(いくたがわ)』(能『求塚(もとめづか)』による)や郡虎彦(こおりとらひこ)の『道成寺』などのような、能作品の近代劇化という系譜を戦後の日本演劇界に伝えている。なお、ドナルド・キーンによる英訳が1957年に刊行されて以来、各国語で翻訳紹介され、海外でも数多く上演されている。
[石澤秀二]
『『近代能楽集』(新潮文庫)』
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