雑兵物語(読み)ぞうひょうものがたり

精選版 日本国語大辞典 「雑兵物語」の意味・読み・例文・類語

ぞうひょうものがたり ザフヒャウ‥【雑兵物語】

江戸初期の兵法書。二巻。作者には松平信興、同輝綱、小幡景憲などが擬されるが不詳。天和三年(一六八三)以前の成立弘化三年(一八四六)刊。雑兵三〇人の体験談の形式で、雑兵の心得を簡明・平易に説く。下級武士の戦陣訓的役割をはたした。また、江戸初期の口語資料としても重要。

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デジタル大辞泉 「雑兵物語」の意味・読み・例文・類語

ぞうひょうものがたり〔ザフヒヤウものがたり〕【雑兵物語】

江戸前期の兵法書。2巻。松平信興著とされる。天和3年(1683)以前の成立。弘化3年(1846)刊。雑兵の話に託し、戦場・武備・武具などの重要事項を口語で記したもの。

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改訂新版 世界大百科事典 「雑兵物語」の意味・わかりやすい解説

雑兵物語 (ぞうひょうものがたり)

江戸前期の兵書。2巻。作者(撰者)には松平信興,同輝綱が擬せられているが定説はない。鉄砲足軽弓足軽,鑓足軽中間,夫丸(ぶまる)など下卒の兵器操練法や戦時の心得などを,それぞれがその体験,見聞を語るという形式を借りて,口語体で平易に説明している。延宝・天和ごろ(1673-84)の成立といわれ,兵書,また国語学上の資料として重視されている。1846年(弘化3)刊行され,活字本岩波文庫にある。
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百科事典マイペディア 「雑兵物語」の意味・わかりやすい解説

雑兵物語【ぞうひょうものがたり】

江戸時代の兵法書。2巻2冊。17世紀半ばの成立。松平信興(のぶおき)著というが不明。雑兵30名の功名談,失敗談,見聞談などの形式を借りて雑兵の心得を説いたもの。雑兵教育を目的とするが,文中に江戸時代初期東国語の口語体が用いられており,近世語研究の資料として価値が大きい。

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