雑兵(読み)ぞうひょう

  • ざっぴょう ‥ピャウ
  • ざっぴょう〔ピヤウ〕
  • ぞうひょう ザフヒャウ
  • ぞうひょう〔ザフヒヤウ〕

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

身分の低く卑しい兵卒をいう。一般に鉄砲足軽弓足軽,馬取,草履取 (ぞうりとり) ,旗差,馬印持 (うまじるしもち) 若党中間などが含まれる。江戸時代の『雑兵物語』に,当時の雑の種類,風俗,任務などをうかがい知ることができる。 (→足軽 )

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百科事典マイペディアの解説

中世の下級兵卒の総称。〈ざっぴょう〉ともいう。室町期に一般化するもので,騎馬(さむらい)・武者(むしゃ)に対して歩卒(ほそつ)をいうが,侍と対比してそれ以下の身分の兵を広く雑兵と称したらしい。17世紀成立の《雑兵物語》では侍の被官(ひかん)・従者を雑兵としており,鉄砲足軽・弓足軽・持筒・持弓・鑓(やり)担・旗差持・馬標持・矢箱持・(くつ)持・草履(ぞうり)取・並中間(ならびちゅうげん)・若党(わかとう)などを含めている。
→関連項目農兵

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世界大百科事典 第2版の解説

室町時代に一般化する下級の兵卒の総称。騎馬の・武者にたいして歩卒。〈討たるる侍名字七十余人,其の外雑兵数を知らず〉(《看聞御記》応永25年4月24日),〈宗徒の侍・雑兵一万ばかり討死〉(《信長公記》天正3年5月21日)というように,侍と対比して,それ以下の身分の兵の総称としてひろく用いられ,〈ざうひゃうの手にかかりて命をむなしくせん事,口惜しければ〉(《曾我物語》)というように,侍からは卑賤視された。

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精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙 身分の低い兵士。また、とるに足りないものをいやしめていう語。雑卒。ぞうひょう。
※江戸から東京へ(1924)〈矢田挿雲〉一一「安宅丸を御座船として〈略〉下層には雑兵(ザッヒャウ)の溜り所と六匹立の厩まであり」
〘名〙
① 身分の低い歩卒。ざっぴょう。雑卒。青葉者。陣笠。
※明徳記(1392‐93頃か)上「雑兵共の手に懸り、若し犬死もやせんずらん」
※曾我物語(南北朝頃)一「吾れ自害の後、ざうひゃうの手にかかりて、命をむなしくせん事、口惜しければ」
② とるに足りない者。くだらない者。
※洒落本・禁現大福帳(1755)「船場の雑評(ザウヒャウ)にも挨拶の楫を取り」

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世界大百科事典内の雑兵の言及

【荒子】より

…1591年(天正19)の豊臣秀吉の身分統制令に〈奉公人,侍,中間,小者,あらし子に至る,去七月奥州江御出勢より以後,新儀ニ町人百姓ニ成候者在之者〉(小早川家文書)とある。戦場で土木,輜重(しちよう),炊事などの雑役に従事した雑兵であり,その身分は百姓・町人とは明確に区別されていた。江戸幕府には小石川の薬園に22人の荒子(15俵一人半扶持高,抱席,御目見以下)がおかれていた。…

【合戦】より

…一騎打ちは往々にして組打ちによって勝負を決し,古来,功名の最たるものとされた。〈将は将をねらう〉,これが少なくとも源平時代の戦闘様式の基本であり,騎馬の士が雑兵の手にかかることは恥とされた。後世,足軽の活躍によって戦闘法に変化をきたした室町中期以後でさえ,足軽の一矢に命をおとすことは〈当座の恥辱のみならず,末代の瑕瑾(かきん)を残せる〉(一条兼良《樵談治要》)といわれた。…

【農兵】より

…(1)日本の中世において16世紀末の兵農分離以前の兵,とくに雑兵(ぞうひよう)をいう。中世社会は兵農未分離で,武士は農村に土着し,農民もみずから武装しているのが常であり,ともに兵として徴発された。…

※「雑兵」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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