ばこそ(読み)バコソ

デジタル大辞泉 「ばこそ」の意味・読み・例文・類語

ば‐こそ

[連語]接続助詞「ば」+係助詞「こそ」》
活用語の仮定形文語では已然形)に付く。あとの説明を成立させるのに十分な理由を、前に提示する意を表す。「親子なればこそ情愛も深いのだ」
「これをいみじと思へ―記しとどめて世にも伝へけめ」〈徒然・一八〉
動詞の未然形に付く。
仮定条件を強調する意を表す。…ならば、きっと。→こそ
「げにそこよりと言は―、かたくなはしく見苦しからめ」〈かげろふ・中〉
㋑(中世以降終助詞的に用いて)強い否定の意を表す。…などするものか。…絶対ない。「押しても引いても動かばこそ」「情け容赦もあらばこそ
新宮しんぐう熊野の地へ敵に足を踏ませ―」〈義経記・三〉

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精選版 日本国語大辞典 「ばこそ」の意味・読み・例文・類語

ば‐こそ

(接続助詞「ば」に係助詞「こそ」の付いた語)
[一] 文中にある場合。
① 活用語の未然形(口語では仮定形)をうけて仮定の条件を強調する。
万葉(8C後)一二・二八六五「玉くしろまき寝る妹もあら者許増(ばコソ)夜の長けくも嬉しかるべき」
和泉式部日記(11C前)「けせうに出でひろめかばこそはあらめ」
② 活用語の已然形(口語では仮定形)をうけて確定の条件を強調する。
源氏(1001‐14頃)行幸「あらはならぬほどなればこそ、年月はまぎれすぐし給へ」
※延慶本平家(1309‐10)二「橋桁を渡れはこそ無勢なる間射落さるれ」
[二] 文末にある場合。活用語の未然形(口語では仮定形)をうけて反語表現となる。
※宇津保(970‐999頃)俊蔭「里に住めども吾子より他に見え通ふ人のあらばこそ」

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