吾子(読み)アコ

デジタル大辞泉 「吾子」の意味・読み・例文・類語

あ‐こ【×吾子】

《古くは「あご」》
[名]わが子。自分の子。
「―の、御宿世すくせにて覚えぬことのあるなり」〈須磨
[代]
二人称人代名詞。子供や乳母などを親しみを込めて呼ぶ語。おまえ。
「―はらうたけれど、つらきゆかりにこそ、え思ひはつまじけれ」〈空蝉
一人称の人代名詞中世から近世にかけての幼児語
「児聞いて、―はそれなら食はう」〈咄・醒睡笑・六〉

ご‐し【×吾子】

[代]二人称の人代名詞。親しみをこめて同僚を呼ぶ語。あなた。きみ。
「―はもとより武門の人なり」〈鶉衣・贈或人書〉

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精選版 日本国語大辞典 「吾子」の意味・読み・例文・類語

あ‐ご【吾子】

  1. ( 後世あこ」とも )
  2. [ 1 ] 〘 名詞 〙 自分の子をしたしんでいう語。わが子。
    1. [初出の実例]「太政(おほきまつりごと)の始めは、人の心未だ定まらずありしかば、吾子(あご)をして皇太子(ひつぎのみこ)と定めて」(出典:続日本紀‐天平宝字三年(759)六月一六日・宣命)
    2. 「万緑の中や吾子の歯生え初むる」(出典:火の島(1939)〈中村草田男〉)
  3. [ 2 ] 〘 代名詞詞 〙
    1. 対称。下位者に親愛の意を表わす。
      1. [初出の実例]「阿誤(アゴ)よ 阿誤(アゴ)細螺(しただみ)の い這ひ廻(もとほ)り 撃ちてし止まむ」(出典:日本書紀(720)神武即位前・歌謡)
      2. 「あこはらうたけれど、つらきゆかりにこそえ思ひはつまじけれ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)空蝉)
    2. ( 「あこ」と清音 ) 自称。中世から近世にかけて幼児が用いた。
      1. [初出の実例]「児 アコ、小児之自称也」(出典:天正本節用集(1590))
      2. 「ちごの曰く『そなたの何と御にらみ候ても、あこが心には吉光の脇差よりもたのもしひ』」(出典:咄本・昨日は今日の物語(1614‐24頃)下)

ご‐し【吾子】

  1. 〘 代名詞詞 〙 対称。同輩に対して用いる敬称。君。あなた。おんみ。
    1. [初出の実例]「我食に遠ければ、身つかれ心しづみて、既露命きえなんとす。吾子もひとしかるべし」(出典:評判記・色道大鏡(1678)一四)
    2. [その他の文献]〔春秋左伝‐成公一二年〕

あ‐こ【吾子】

  1. あご(吾子)

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普及版 字通 「吾子」の読み・字形・画数・意味

【吾子】ごし

友を敬愛してよぶ語。〔孟子、公孫丑上〕或るひと曾西に問うて曰く、吾子と子路と孰(いづ)れか賢(まさ)れると。曾西蹴然(しゆくぜん)として曰く、吾が先子(父、曾参)の畏れしなりと。

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