ゲリウス(英語表記)Aulus Gellius

改訂新版 世界大百科事典 「ゲリウス」の意味・わかりやすい解説

ゲリウス
Aulus Gellius
生没年:123ころ-169

ローマ随筆家。20巻の《アッティカの夜々》と題する随筆の作者。同書は第8巻以外は現存する。青年時代ローマで法律,修辞学を修めた後,哲学を学ぶためアテナイへ行き,著名な弁論家へロデス・アッティクスと親交を結んだ。彼の師友にはフロントや修辞学者ファウォリヌスなどがいる。ローマに帰ってのち司法官となった。《アッティカの夜々》の内容は,歴史,哲学,法律,文学など百般に及ぶ。275名のギリシア,ローマの作家からの引用を含み,この書によってのみ知りうる作家も多く,貴重な文献。G.B.ショーの《アンドロクリーズとライオン》もこの書物から題材を得ている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ゲリウス」の意味・わかりやすい解説

ゲリウス
Gellius, Aulus

[生]130頃
[没]165頃
古代ローマの著述家。ローマで文学を学んでからアテネに留学して哲学を聴講し,学問芸術の保護者ヘロデス・アッチクスと親交を結んだ。帰国後は民事訴訟判事に任じられ,以後法律を業とするかたわら勉学と執筆を続行。すでにアテネ滞在中に,子供たちのために随筆集の資料収集と執筆を始め,これを『アッチカ夜話』 Noctes Atticaeと呼んだ。これは読書と伝聞に基づいて,法律,言語,文法,歴史,伝記,文献批判などさまざまな問題を論じたもので,特に散逸したギリシア・ローマの原典からの引用の宝庫として,古来多くの作家によって典拠とされている。全 20巻中第8巻を除いて現存。

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世界大百科事典(旧版)内のゲリウスの言及

【ラテン文学】より

…ほかにウェレイウス・パテルクルスVelleius Paterculus,クルティウス・ルフスCurtius Rufus,フロルスなどの歴史家の名がみられる。またそのほかの散文作家には,小説《サテュリコン》の作者ペトロニウス,百科全書《博物誌》の著者の大プリニウス,《書簡集》を残した雄弁家の小プリニウス,農学書を残したコルメラ,2世紀に入って,《皇帝伝》と《名士伝》を著した伝記作家スエトニウス,哲学者で小説《黄金のろば(転身物語)》の作者アプレイウス,《アッティカ夜話》の著者ゲリウスなどがいる。 詩の分野ではセネカの悲劇のほかに,叙事詩ではルカヌスの《内乱(ファルサリア)》,シリウス・イタリクスの《プニカ》,ウァレリウス・フラックスの《アルゴナウティカ》,スタティウスの《テバイス》と《アキレイス》など,叙事詩以外ではマニリウスの教訓詩《天文譜》,ファエドルスの《寓話》,カルプルニウスCalpurniusの《牧歌》,マルティアリスの《エピグランマ》,それにペルシウスとユウェナリスそれぞれの《風刺詩》などがみられる。…

※「ゲリウス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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