ゴーサーラ(読み)ごーさーら(英語表記)Makkhali Gosāla

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ゴーサーラ」の意味・わかりやすい解説

ゴーサーラ
ごーさーら
Makkhali Gosāla

生没年不詳。古代インド思想家で、アージービカ派の主導者。釈迦(しゃか)と同時代人で、六師外道(ろくしげどう)の一人。遍歴者を両親として牛舎一隅に生まれ、ジャイナ教の開祖マハービーラとは一時期、修行をともにしたと伝えられる。彼は個人の業(ごう)による因果応報(いんがおうほう)を否定し、徹底した宿命論を説いた。輪廻(りんね)の期間は一定であり、そこにおける苦楽もまた定まっている。いっさいの生類は運命と状況と本性とに支配されて苦楽を享受し、人間の自由意志は否定される。賢者も愚者も840万大劫(こう)の間を輪廻して苦の終わりに至ることは、あたかも投げられた巻き糸が解け終わるまで転がっていくごとくである、という。

[松田愼也 2018年5月21日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ゴーサーラ」の意味・わかりやすい解説

ゴーサーラ
Gosāla, Makkhali

前6~5世紀頃のインドの思想家。いわゆる六師外道の一人で,漢訳仏典では邪命外道と訳されているアージービカ教を信奉していたと伝えられる。彼は生きているものを構成している要素として,霊魂,地,水,火,風,虚空,得,失,苦,楽,生,死の 12種を考えた。また自由意思に基づく行為を否定し,したがって個人の業による因果応報を否定し,徹底的な運命論,あるいは宿命論を説いた。この思想はマウリヤ朝時代までは相当有力であったが,その後ジャイナ教のなかに吸収された。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android