大矢田神社(読み)おやだじんじや

日本歴史地名大系 「大矢田神社」の解説

大矢田神社
おやだじんじや

[現在地名]美濃市大矢田

天王てんのう(五三七・八メートル)南麓のかえで谷に鎮座する旧郷社。祭神は建速須佐之男命・天若日子命。社蔵の天王山禅定寺之記によれば、孝霊天皇の時代に里人が社を建て、養老二年(七一八)泰澄が本地堂以下数十の伽藍を建立して天王山禅定ぜんじよう寺と号したのが創建とされる。祭神の由来は、孝霊天皇の時代、深山に悪竜がすみ、里民は山の天若日子の廟所(喪山天神社)加護を祈ったところ、須佐之男神を祀るようにとの夢告があった。それに従って天王の宮を建て、神を勧請しようとしたところ、山の東辺が一昼夜鳴動し、須佐之男命が出現して悪竜を退治し、「我をここに祀るべし」と言ったため、天若日子命とともに祭神としたという(同記)

社蔵の明応三年(一四九四)一一月一三日銘・大永三年(一五二三)一二月一八日銘をもつ二口の梵鐘は県指定重要文化財で、前者の陰刻銘には「武義郡山口郷東方天王山禅定寺」とある。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

デジタル大辞泉プラス 「大矢田神社」の解説

大矢田神社

岐阜県美濃市にある神社。「おやだじんじゃ」と読む。祭神は須佐之男命(すさのおのみこと)、天若日子命(あめわかひこのみこと)、阿遅志貴高日子根命(あじすきたかひこねのみこと)。本殿拝殿は国の重要文化財に指定。紅葉名所で「楓谷のヤマモミジ樹林」として国の天然記念物に指定。

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世界大百科事典(旧版)内の大矢田神社の言及

【美濃[市]】より

…南部の大矢田は牧谷と武芸(むげ)谷(武芸川町)の中間にあり,室町時代には紙を中心とする六斎市が開かれ,紙座を結成した近江商人が紙の購買を独占した。大矢田神社には特殊神事〈ひんここ〉が伝わり,神社の社叢は楓谷(かえでだに)のヤマモミジ樹林として天然記念物に指定されている。北部に天然記念物の洲原神社ブッポウソウ繁殖地もある。…

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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」