高千穂町と大分県竹田市・同県
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
九州山地の北部,大分・宮崎両県の県境西部に位置する山。祖母・傾(そぼかたむき)山地の主峰で,嫗(うば)岳とも呼ばれる。標高1756m。かつては九州第1の高山とされていた。山名は神武天皇の祖母にあたる豊玉姫をまつったことによると伝えられる。地質は秩父古生層を基底とし,その上に上部中新世の祖母山火山岩が噴出する。急峻な壮年期の地形であり,とくに北側は臼杵-八代構造線に面して急斜面をなす。標高1100~1200mを境にして上部はブナを主とする広葉樹林帯,下部はモミ,ツガなどを主とする針葉樹林帯であり,カモシカ,ムササビなどが生息している。東方の傾山にかけての地域は祖母傾国定公園となっている。
執筆者:赤木 祥彦
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
大分・宮崎県境西部にそびえる山。九州山地の主峰で、ピラミッド形の美しい山容を示す。標高1756メートル。祖母傾国定公園(そぼかたむきこくていこうえん)に含まれる。神武(じんむ)天皇の皇祖母(豊玉姫(とよたまひめ))を祀(まつ)ることからこの名がある。基底は秩父中・古生層で、新第三紀の祖母火山岩が主体を構成し、一部に花崗(かこう)岩の貫入があって、錫(すず)鉱を含む。標高1100~1200メートルを境に、上部はブナを主とする広葉樹、下部はモミ、ツガ、アカマツなどの針葉樹がよく繁茂し、ヤマネ、ムササビ、ニホンカモシカ(特別天然記念物)などが生息している。紅葉と展望のすばらしいことは、1890年(明治23)に登ったイギリス人ウォルター・ウェストンによって紹介されたが、まだあまり俗化していない。神原(こうばる)登山口から山頂まで徒歩4時間。
[兼子俊一]
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