岸本忠三(読み)きしもとただみつ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「岸本忠三」の意味・わかりやすい解説

岸本忠三
きしもとただみつ

[生]1939.5.7. 大阪
免疫学者。大阪大学卒業後アメリカへ留学,帰国後大阪大学細胞工学センター教授を経て 1995年同大学医学部長,1997年同大学学長。アメリカ留学中の 1972年,T細胞の培養液中に抗体産生を促す物質があることを発見,1986年にはこの物質が 184アミノ酸残基からなる蛋白質であることを突き止めた。のちに BFS2またはインターロイキン 6と呼ばれるこの物質が,各種免疫系の細胞で,とりわけ自己免疫疾患に関与する細胞で産生されて自己免疫反応の原因となっていることや,神経の悪性腫瘍細胞,多発性骨髄腫の細胞などでもつくられて腫瘍の増殖に関与していることなどを発見した。 1988年朝日賞,1992年サンド免疫学賞と学士院賞恩賜賞を受賞,1999年文化勲章を受章

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「岸本忠三」の解説

岸本忠三 きしもと-ただみつ

1939- 昭和後期-平成時代の免疫学者。
昭和14年5月7日生まれ。54年阪大教授となり,平成9年総長。インターロイキン6を発見し,その働きを研究する。4年学士院恩賜賞,7年学士院会員,10年文化勲章。15年ドイツのロベルト・コッホゴールドメダル,21年スウェーデンのクラフォード賞受賞。23年「インターロイキン6の発見から疾患治療への応用」で平野俊夫とともに日本国際賞。大阪出身。阪大卒。編著に「免疫学」など。

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