T細胞(読み)ティーさいぼう(英語表記)T cell

  • ティーさいぼう ‥サイバウ
  • ティーさいぼう〔サイバウ〕

翻訳|T cell

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

リンパ球の一種で,骨髄幹細胞に由来し,胸腺分化する免疫担当細胞。同じ骨髄幹細胞由来のB細胞と形態的に酷似する。機能をもとに4種類に分類でき,B細胞の抗体産生細胞への分化を助けるヘルパーT細胞,抑制するサプレッサーT細胞,アレルギー反応を誘発するエフェクターT細胞,標的細胞を破壊するキラーT細胞が存在する。T細胞はB細胞と違い抗体をつくらないが,抗体産生を間接的に調節する役割を担い,また,細胞性免疫の主役となっている。

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栄養・生化学辞典の解説

 Tリンパ球ともいう.胸腺由来の細胞で,Bリンパ球の抗体産生の調節,抗原となる細胞の溶解などの機能を有する.細胞表面に抗原レセプターを有する.機能によってキラーT細胞,サプレッサーT細胞,ヘルパーT細胞などと区別される.

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

免疫機序(メカニズム)に関与するリンパ球の一種であるが、T細胞とB細胞という形で説明するほうが適当である。なぜなら、免疫機構において重要な役割を担うリンパ球には、その起源と機能とが異なる二つのグループが存在するという考え方が現在のところ支配的なためである。骨髄の幹細胞は、胸腺(きょうせん)の上皮細胞という場で、特殊な内部環境と胸腺の液性因子によってリンパ球に分化する場合と、胸腺とは無関係に骨髄でのみリンパ球に分化する場合とがあり、この両者は種種の点において異質であるため、前者を胸腺Thymus由来のリンパ球、すなわちT細胞とよび、後者を骨髄Bone marrow由来のリンパ球、すなわちB細胞と呼称している。走査型電子顕微鏡によって両者を形態学的にみると、T細胞の表面が比較的平滑であるのに反して、B細胞の表面には多数の突起があることがわかる。また、透過型電子顕微鏡による観察では、T細胞には集合性の濃密体dense bodyがあり、B細胞には散在性の濃密体のあることが注目されている。

 機能的な面からみると、B細胞は抗体グロブリンの産生に関与し、T細胞は免疫における記憶の能力を有し、B細胞に情報を与えて抗体産生を助けるとともに、細胞性免疫という舞台で主役的役割を演ずると理解されている。T細胞は、リンパ節の旁(ぼう)皮質部、および脾臓(ひぞう)の中心動脈周囲に分布しており、これらの部は胸腺依存領域とよばれている。一方、B細胞は、リンパ節の皮質、リンパ濾胞(ろほう)に局在している。さらに、T細胞は物理化学的性状、および抗原と受容体の組合せによって、次のような表現型を異にした亜集団に分類される。すなわち、補助helper、増幅amplifier、障害killer、抑制suppressorなどのごとくである。これらの亜集団は、免疫細胞相互間の共同作業において、それぞれ機能の分担を行っているとの説明がなされている。

[渡辺 裕]

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精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙 (Tはthymus で、胸腺の意) 骨髄で生成されたリンパ球が胸腺に移送されて成熟したもの。B細胞とともに免疫反応に重要な働きをする。Tリンパ球。

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化学辞典 第2版の解説

胸腺由来の免疫担当細胞.抗体産生の調節や不都合細胞(がん細胞やウイルス感染細胞など)の消去を行うリンパ球で,胸腺を除去すると免疫系のはたらきが弱まることから同定され,胸腺(thymus)にちなんでT細胞と命名された.ヌードマウスには胸腺がない.

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