精選版 日本国語大辞典 「立合・立会」の意味・読み・例文・類語
たち‐あい ‥あひ【立合・立会】
〘名〙
① たちあうこと。双方から出あうこと。出あって勝負を争うこと。
※読本・昔話稲妻表紙(1806)五「立合(タチアヒ)の仇打をおんゆるしあるやうにはからふべし」
② 事実を見とどけるため、その場に同席すること。たちあうこと。また、その人。立会人。
※霊雲院文書‐元亀二年(1571)八月・霊雲院納所式之事「評定算用事、此三人并連判之衆立合に可レ被レ遂之事」
※外科室(1895)〈泉鏡花〉上「なにがし侯と、なにがし伯と、皆立合(タチアヒ)の親属なり」
③ 江戸幕府評定所の定式寄合の一種。寺社・町・勘定の三奉行のほか、目付(めつけ)が列座し、裁判および評議を行なうもの。六日、一四日、二五日といったように、月三回の会合日が決められていた。式日(しきじつ)に対して、御用日ともいう。
※御当家令条‐三四・定・延宝九年(1681)正月一二日「諸奉行之立合、六日十四日廿五日」
④ 人の立ち交じること。人の多く立つこと。また、そのところやその人。
※浄瑠璃・曾我五人兄弟(1699頃)三「され共爰はけいせい町と申て諸万人の立合(タチアヒ)」
※評判記・すまふ評林(1756)「立合甚だ見ぐるしく、男道の晴業には似合ぬ事なり」
⑥ 能などで、芸の優劣を競うための共演。数人が同じ曲を同時に舞う場合(翁の立合など)と、同じ場で交互に別曲を一番ずつ演ずる形とがあった。
※風姿花伝(1400‐02頃)三「されば、手がらのせいれひ、たちあひに見ゆべし」
⑦ 江戸時代、大坂堂島での米相場取引のこと。
※三貨図彙‐遺考(1825頃)一「帳合相場立会無レ之、正米ばかりの売買なり」
⑧ 取引所で、取引員または会員が一定時間に集まって行なう売買取引。
※時事新報‐明治二二年(1889)一二月一四日「其第二節は十時前に立会を始め」
⑨ 芸題をたてて浄瑠璃会をやること。同一狂言を筋を通して続けて演ずること。
⑩ =いりあい(入会)
※大審院民事判決録‐明治一二年(1879)一月至二月・第二〇号「字小山、字若林山の儀は、往古より原被告両村の立会山にして」
たち‐あ・う ‥あふ【立合・立会】
〘自ワ五(ハ四)〙
① 互いに立つ。
② 互いに出合う。一緒になる。
※日葡辞書(1603‐04)「グヮイジンニ tachiyǒteua(タチヤウテワ) タシナミガ イル」
③ あい対する。また、互いに勝負を争う。格闘する。
※水鏡(12C後)上「其の国の兵なるべし。我立合べからずと思て」
④ その場に居合わせる。また、事実を見届けるため、その場に臨む。
※吾妻鏡‐文治五年(1189)一月三日「堪能者一人可二立逢一之旨有レ仰」
※人情本・春色梅児誉美(1832‐33)四「私が立合(タチアッ)てしらべるつもりで、座敷へ行から」
⑤ 能などで立合⑥を行なう。
※俳諧・紅梅千句(1655)一「天道よかたせてたまへ此将棋〈可頼〉 立あひつつもうてる小つづみ〈友仙〉」
⑥ 相撲で、立合の状態になる。両者の呼吸が合って立ち上がる。
※俳諧・俳諧三部抄(1677)上「立あひて余か手をひらく相撲哉〈玄甫〉」
⑦ 裁判などの手続が行なわれる際に、関係者が臨んでその場に居合わせる。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報