結政(読み)カタナシ

デジタル大辞泉 「結政」の意味・読み・例文・類語

かた‐なし【結政】

《集めて一つにまとめる意の動詞「かたなす」の連用形から》
奈良平安時代除目じもくなどの政務に関する書類を一つに束ねて結び、政務を行う前にこれを開いて読み上げた儀式
結政所かたなしどころ」の略。

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精選版 日本国語大辞典 「結政」の意味・読み・例文・類語

かた‐なし【結政】

〘名〙 (動詞「かたなす(結)」の連用形の名詞化)
① 奈良・平安時代の朝廷政務の儀式の一つ。政務に関する書類を整理して束ね、政務に先だち開いて読み上げ、再び束ねる儀式。官結政と外記(げき)結政があり、平安中期以後は外記結政が多い。
御堂関白記‐寛弘六年(1009)三月一四日「結政如常、立座時、右大弁先立出立所
※本朝世紀‐康保四年(967)六月三日「封符於結政請印。素服挙哀美服宴飲等官符同加請印了」 〔色葉字類抄(1177‐81)〕

けっ‐せい【結政】

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改訂新版 世界大百科事典 「結政」の意味・わかりやすい解説

結政 (かたなし)

平安時代の政務の一つで,公卿が主宰する政に先立って,弁官文書を整理する行事。またその場所である結政所(かたなしどころ)の略称。〈けっせい〉ともいう。〈かたなし〉とは,まとめるという意味の〈結(かた)ね成す〉の語から転じたものといい,文書の決裁・確認の行為をさすらしい。太政官に申すべき諸司・諸国の庶政はすべて弁官を経るが,弁官が太政官の政に提出すべきこれらの文書を整理する行事が結政で,大弁以下の弁官や,少納言・外記・史などが結政所に集まり,史が文書を弁官に提出して決裁を経るが,その間,やかましい作法をともなう。結政は本来毎日行われるはずであるが後にはごくまれになった。結政所には太政官庁西廊の官結政所,外記庁南側の外記結政所があるが,もっぱら外記結政所が用いられた。また結政請印(しよういん)といって,至急の官符に政を経ずに結政所で捺印する行事もあり,その例は多い。
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世界大百科事典(旧版)内の結政の言及

【結政】より

…平安時代の政務の一つで,公卿が主宰する政に先立って,弁官が文書を整理する行事。またその場所である結政所(かたなしどころ)の略称。〈けっせい〉ともいう。…

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