見取・看取(読み)みとり

精選版 日本国語大辞典 「見取・看取」の意味・読み・例文・類語

み‐とり【見取・看取】

〘名〙 (「みどり」とも)
① 見て知ること。
※大学垂加先生講義(1679)「退渓、致格補伝の章のことを論ずる中によき見とりあり」
② 広く見わたして、多くの中から選び取ること。
※四河入海(17C前)二二「及第した人を洛中の公卿見(ミ)とりに婿にとるぞ」
③ (「緑」とも) 歌舞伎・人形浄瑠璃などで、通し狂言にせず、諸作品から見所のある一幕・一段ずつを選び集めて演ずること。見取浄瑠璃。
※滑稽本・浮世風呂(1809‐13)三「足らずめへは見取(ミドリ)にするといふ物か、世話物でも跡へ付けるか」
④ 見て写し取ること。
⑤ (看取) 病人のそばにいて世話をすること。看病
※亜非利加内地三十五日間空中旅行(1883‐84)〈井上勤訳〉二「看護(ミトリ)に暇なき夥多(あまた)侍女等は」
⑥ 江戸時代、収穫不同の土地には一定期間石高を付けないで、毎年、坪刈の検見をして、納米高を定めたこと。〔経済録(1729)〕

み‐と・る【見取・看取】

〘他ラ五(四)〙
① 見て知る。よくよく注意して見る。見定める。見きわめる。
源氏(1001‐14頃)蓬生「かく御心とどめておぼさるる事なめりとみとりて」
② 見て写し取る。
至花道(1420)無主風の事「師によくにせならひみとりて我物になりて」
③ (看取) 病人のかたわらにいて、世話をする。看病する。看護する。〔改正増補和英語林集成(1886)〕
※いさなとり(1891)〈幸田露伴〉六四「物ぐさく汚気なるをも嫌ふ容態なく看護(ミト)りて呉るることよ」
④ 死の床にある人に最後まで付き添う。「誰にも見とられずに死ぬ」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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