都市銀行地方銀行(読み)としぎんこうちほうぎんこう

改訂新版 世界大百科事典 「都市銀行地方銀行」の意味・わかりやすい解説

都市銀行・地方銀行 (としぎんこうちほうぎんこう)

普通銀行普通銀行・特殊銀行)は都市銀行地方銀行(それぞれ都銀,地銀と略称される)に分けられる。1936年9月全国地方銀行協会が設立され,その結成趣旨書で,はじめて地方銀行とはシンジケート銀行団(三井三菱安田,第一,住友などの大銀行)以外の中小銀行であると明示され,地方銀行の概念が一般化した。49年6月〈日本銀行法〉の改正で,法制上はじめて〈大都市銀行〉〈地方銀行〉の呼称が使用された。そして,55年ごろから〈都市銀行〉という名称が一般化し,慣用語化した。一般に都市銀行とは普通銀行のうち,六大都市またはそれに準ずる都市を本拠として全国的または数地方にまたがる広域的営業基盤をもつ銀行で,系譜的には旧財閥銀行,旧特殊銀行,旧地方銀行で業績が拡大したものである。地方銀行とは普通銀行のうち,地方都市を本拠として地域的に限られた営業基盤をもち(全国地方銀行協会の定款第4条参照),その地域経済と密接な結びつきをもっている銀行である。したがって,両者区分は営業地盤が全国的であるか地方的であるかによるもので,東京や大阪に本店をもつ銀行でも,営業地盤が地域的に限られていれば地方銀行である。しかし,〈地方的〉とはどの範囲を指すかは明らかでないので,〈地方銀行〉の概念も決して厳密なものではない。さらに,全国地方銀行協会の会員でない銀行が〈都市銀行〉ということになり,〈都市銀行〉の概念はきわめて消極的である。

 具体的には,都市銀行は現在11行あるが,このなかには北海道拓殖銀行(1997年11月経営破綻)も含まれる。また,地方銀行は64行あるが(このほかに旧相互銀行から転換した第二地方銀行65行がある),預金量1位の横浜銀行のそれは都銀最下位行の北海道拓殖銀行を上回る(1995年度末現在)。
銀行
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android