食の医学館 「食欲不振・小食」の解説
しょくよくふしんしょうしょく【食欲不振・小食】
《どんな病気か?》
〈食欲がわかないのは体調不良のしるし〉
食欲はさまざまな要因に影響されます。たとえば心配ごとやストレスがあると、どうしても食欲がなくなりがちです。
また不規則な生活、睡眠不足、肉体的に疲れているときにも食欲が落ちてきます。食欲不振の大半はこうした心身の不調から起こります。
一方、かぜで熱があるときや、胃炎など消化器官に疾患がある場合にも食欲不振は起こります。
病気が原因のときは、その治療が先決ですが、ストレスや睡眠不足、疲労などで食欲が落ちているときは、休養をしっかりとり、気分をリフレッシュさせるなどして、原因の解消につとめてください。
そして、とにかく食べられるものから口にすることです。食欲がないからと食べないでいると、体脂肪の分解がすすんで、ケトン体が血液中にふえます。
ケトン体は、体内の糖分が極端に減少した場合や、インスリンが分泌(ぶんぴつ)されない場合に現れます。本来ならインスリンがブドウ糖をエネルギーにかえるところ、インスリン不足のために脂肪が分解されるときにでる燃えカスのようなものです。のどのかわきがひどくなり、尿量がふえたら注意が必要です。
これらの症状がだるさをもたらすとともに食欲を抑制して、いつまでも悪循環から抜けきれなくなってしまうのです。
《関連する食品》
〈スパイスや味付けで食欲増進のくふうを〉
○栄養成分としての働きから
ストレスや疲労、かぜぎみなどの体調不良が原因で食欲がないときは、ビタミンB1が有効です。
豚肉、レバー、ウナギ、ニンニクやヤマノイモなどに多く含まれるビタミンB1には、精神を安定させ、筋肉の疲労をいやす作用があるほか、胃腸の働きを活発にし、食欲を増進させる効果があります。
ウメ干しの適度な酸味も食欲増進作用があるので、口あたりのよい「ヤマノイモの千切りのウメ和え」などは、おすすめです。
ナイアシンやビタミンB12が不足すると食欲不振をまねくので、これらビタミンB群も合わせてとるようにしましょう。
ナイアシンはカツオ、サバ、ブリ、レバー、鶏ささみに、ビタミンB12はアサリ、カキ、レバー、シジミなどに多く含まれています。
カレー風味を生かしたやわらかい野菜スープ、ヨーグルトやくだものの酸味を生かしたフルーツサラダ、リゾットや茶碗蒸しなど、口あたりのいいものが向いています。
また、各種スパイスを使ったり、シソやパセリ、ミョウガなど、香り豊かな食材を取り入れても食欲が刺激されます。
シソやパセリ、ミョウガにはビタミンCが含まれているので、疲労回復にも役立ちます。
食欲がないときは、味付けをやや濃いめにすると、胃液の分泌が高まり、食欲がわいてきます。