宇宙空間にγ線が激しく大量に放射される天文現象。略号はGRB(gamma-ray burst)。1963年に核実験禁止条約を監視するために打ち上げられたベラという人工衛星が偶然発見した。10ミリ秒から1000秒まで続くγ線の放射が1日に数回観測され、X線や可視光による残光がある場合もある。1990年代より大気圏外のγ線観測衛星を使い、X線や可視光による残光を手掛りにγ線バーストに対応した発光天体までの距離を測ると、それが非常に遠方(数十億光年)にあることがわかった。また、距離がわかったことで、その全放射エネルギーも膨大なものであることがつきとめられた。それほど遠くにあるのにγ線で光り輝くことから、γ線バーストの正体は宇宙でもっとも明るい爆発と考えられる。γ線バーストは発光時間が2秒以下の「短いγ線バースト」と2秒以上の「長いγ線バースト」に大別される。長いγ線バースト(明るいγ線バースト)は高速回転している超巨大星が爆発し、ブラック・ホールになるときに発光するのではないかと考えられている。また短いγ線バースト(暗いγ線バースト)は中性子星の連星系の合体または中性子星とブラック・ホールの合体によりブラック・ホールになるときにγ線バーストを出すと推定されている。
[編集部 2023年2月16日]
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