あいしらい(読み)アイシライ

デジタル大辞泉 「あいしらい」の意味・読み・例文・類語

あい‐しらい〔あひしらひ〕

《「あえしらい」の音変化》
応対すること。また、取り扱うこと。もてなし。
むこ入りして、しうとの―も常のごとく」〈虎明狂・折紙聟
程よい取り合わせ。
「細やかなる―はなけれども」〈連理秘抄
能・狂言で、相手役演技に応じて動くこと。
「脇の為手してに花を持たせて―のやうに」〈花伝・一〉
能・狂言で、演技の相手となる役者
「―を目がけて、細かに足手を使ひて」〈花伝・二〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「あいしらい」の意味・読み・例文・類語

あい‐しらいあひしらひ

  1. 〘 名詞 〙 ( 動詞「あいしらう」の連用形の名詞化 )
  2. 応対すること。受け答えすること。あえしらい。
    1. (イ) 人に対して応対すること。待遇すること。また、もてなし。
      1. [初出の実例]「魯武公の来朝したる時のあいしらいに、不籍と云様なかさてはないぞ」(出典:史記抄(1477)三)
      2. 「Aixirai(アイシライ)〈訳〉客人に対してなされる歓待厚遇」(出典日葡辞書(1603‐04))
    2. (ロ) 事物を状況に応じて加減しながら丁寧に取り扱うこと。
      1. [初出の実例]「Aixiraino(アイシライノ) イッタ ウマジャ」(出典:日葡辞書(1603‐04))
  3. 取り合わせること。よそおいとして添えること。また、そのようにするもの。あしらい。とりあわせ。
    1. [初出の実例]「余が書し岩などのあいしらひの色」(出典:随筆・独寝(1724頃)下)
    2. 「テエブルの上の合触(アヒシラヒ)に葉附のまま三四本、〈略〉白い茎が美しい」(出典:青春(1905‐06)〈小栗風葉〉春)
  4. 能楽で、役者が互いに相手の演技に応じて動くこと。
    1. [初出の実例]「脇の為手(して)に花を持たせてあひしらひのやうに少々(すくなすくな)とすべし」(出典:風姿花伝(1400‐02頃)一)
  5. 能、狂言で、演技の相手となる役者。相手方。
    1. [初出の実例]「あひしらひを目がけて、細かに足手を使ひて」(出典:風姿花伝(1400‐02頃)二)
  6. 連歌で、付句前句の取り合わせ。
    1. [初出の実例]「紅葉の盛りなるを見て〈略〉かまの口こがれて見ゆる紅葉かな、やむごとなくて付けける、なべての世にはあらじとぞ思ふ、此句よろしからず。なにかあらしと聞えず。又かまにはあひしらひあり。紅葉のあひしらひなし」(出典:貞享版沙石集(1283)五)

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