改訂新版 世界大百科事典 「アイネム」の意味・わかりやすい解説
アイネム
Gottfried von Einem
生没年:1918-96
オーストリアの作曲家。ブラッハーに作曲を学び,1947年十二音技法を用いたビュヒナーによるオペラ《ダントンの死》(1944-46),53年カフカによるオペラ《審判》をザルツブルク音楽祭で初演,世界的な名声を得た。新古典主義的な手法から出発し,リズムへの関心をブラッハーやストラビンスキーから受け継ぎ,ジャズや十二音技法を採り入れながら,劇的な音楽において本領を発揮。人間の自由や正義の問題を扱った上記作品のほか3曲のオペラ,《トゥーランドット姫》(1942-43)をはじめ5曲のバレエ音楽,その他数曲の声楽つき管弦楽を書いているが,音楽語法上,今日では総じて保守的,折衷的であるとみなされている。
執筆者:笠羽 映子
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報