改訂新版 世界大百科事典 「ブラッハー」の意味・わかりやすい解説
ブラッハー
Boris Blacher
生没年:1903-75
ドイツの作曲家。中国の牛荘に生まれ,イルクーツク,ハルピンで中・高等教育を受ける。19歳のとき(1922)ベルリンへ戻り工科大学に入るが,24年からF.E.コッホに作曲を学び,27-31年にはベルリン大学で音楽学を学んでいる。38年ドレスデン音楽院の作曲教師,48年ベルリン高等音楽学校作曲教授,53-70年同校校長を歴任した。作風は両大戦間の新古典主義に根ざしており,即物的なトーンと短い動機の反復的な積重ねに特徴がある。技法的にはピアノ曲《オルナメンテ》(1950)で発表した〈可変拍子〉が注目され,また《抽象オペラ第1番》(1953)は,すべて意味をもたないテキスト(音素の組合せ,造語)によっており,音声の新しい音色的可能性として影響を与えた。他の主要作品に,室内オペラ《洪水》(1946),《ピアノ・ソナタ》(1951),《管弦楽のオルナメント》(1953),電子音楽《電子インパルス》(1965)がある。
執筆者:佐野 光司
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