バイロイト(読み)ばいろいと(英語表記)Bayreuth

翻訳|Bayreuth

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「バイロイト」の意味・わかりやすい解説

バイロイト
Bayreuth

ドイツ南東部,バイエルン州の都市。ニュルンベルク北東約 70km,フィヒテル山地とフレンキッシェアルプとの間,ローターマイン川(→マイン川)沿いに位置する。1194年に歴史に現れ,1248年ホーエンツォレルン家領となり,上フランケン地方の中心地の一つとなった。1603年以後は同家のアンスバハ辺境伯の居地となった(→アンスバハ=バイロイト辺境伯領)。代々の辺境伯はいずれも芸術の保護者で,特にバロック建築の発展に大きく貢献。なかでもフリードリヒとその妻でフリードリヒ2世の姉ウィルヘルミナの治下(1735~63)で市は最盛期を迎え,新宮殿(1754),オペラハウス(1744~48,2012世界遺産の文化遺産に登録)など盛時を偲ばせる多くの建物がこの時期に建設されている。1791年にはプロシア領となり,1810年にバイエルン王国の一部となった。作曲家リヒアルト・ワーグナーは 1872年,楽劇『ニーベルンゲンの指輪上演のための新しいタイプの劇場としてバイロイト祝祭劇場の建設に着手。1876年,新劇場はこけら落としとして『ニーベルンゲンの指輪』を初演,大成功を収めた。ワーグナーの没後祝祭は妻コジマ,息子,孫らに受け継がれ,毎年 7~8月にバイロイト音楽祭として世界中から聴衆を集めている。音楽祭は市の産業にとっても重要で,ほか機械繊維化学楽器など各種の工業も立地する。人口 7万4818(2003推計)。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「バイロイト」の意味・わかりやすい解説

バイロイト
ばいろいと
Bayreuth

ドイツ南東部、バイエルン州にある都市。人口7万4200(2000)。地名から、他の地域のバイエルン人の開墾によって成立したと考えられている。1194年に史料に現れ、1248年ホーエンツォレルン家の所領となって今日の町の核が形成された。1603年辺境伯の宮廷都市となり、発展した。18世紀に町の北東部に、フランスを追われた新教徒ユグノーの移住集落が成立。伝統的工業としてファエンツァ焼などの陶磁器製造が盛んであるが、19世紀後半に紡績工場が立地し、第二次世界大戦後には難民受け入れ事業として工業団地がつくられた。R・ワーグナーが始めたバイロイト音楽祭が行われることで有名で、また静かなたたずまいのなかにあるバロック建築やロココ風の宮殿などは、宮廷都市としての過去をしのばせている。

[石井英也]

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