1991年に登録された世界遺産(自然遺産)で、ニジェール北西部、サハラ砂漠の南に位置するアイール山地の一部とテネレ砂漠に広がるアフリカ最大規模の自然保護区。荒涼とした乾燥地帯だが、紀元前4000年頃には緑豊かな大地が広がっていたことがアイール山中の岩盤に残る壁画などからうかがえる。現在、谷間にはわずかに森林もあるため、350種以上の植物、165種の鳥類、18種の爬虫類、40種以上の哺乳類が多様に存在している。アダックス、ガゼル、バーバリシープなど、この地域の固有種や絶滅危惧種も生息していることなどから、自然の変遷を知る貴重な一帯と注目され、世界遺産に登録された。全面積の6分の1を占める特別保護区では、一切の狩猟や樹木の伐採が禁止され、絶滅に瀕した稀少動物の保護や研究が進められている。1990年、保護区内に住むトゥアレグ族が独立を求めて反政府運動に加わり、内戦の舞台となったため、1992年には危機遺産リストに登録された。◇英名はAir and Ténéré Natural Reserves