アオツヅラフジ
Cocculus trilobus DC.
山野にごく普通にみられるツヅラフジ科のつる性木本。カミエビの名もある。雌雄異株。枝や葉は短毛でおおわれている。葉は互生で紙質,広卵形から3浅裂するものまで変異がある。花序は集散花序で,初夏から夏にかけて小さな黄色の花をたくさんつける。萼片6枚,花弁も6枚で細長く,先は2裂する。雄花では6本のおしべと退化した6本のめしべがある。雌花では仮雄蕊(かゆうずい)6本とめしべが6本ある。核果は粉白色をおびた黒藍色。本州,四国,九州,朝鮮,台湾,中国にまで分布している。古くから,茎および根を木防已(もくぼうい)と称し,漢方で利尿,鎮痛,解熱にきく薬として利用されてきた。
同属のコウシュウウヤクC.laurifoliusが九州南部から,東南アジアにかけて分布している。
執筆者:寺林 進
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
百科事典マイペディア
「アオツヅラフジ」の意味・わかりやすい解説
アオツヅラフジ
カミエビとも。ツヅラフジ科の落葉性の木性つる植物。本州〜沖縄,東アジアに分布し山野にはえる。葉は長い柄があって互生し,卵形で,ときに3浅裂。夏,葉腋に多数の小さな黄白色花を円錐状につける。雌雄異株で,雌株には秋,球形の果実が黒熟。木部と根を木防巳(もくぼうい)と称し,薬用。
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
世界大百科事典(旧版)内のアオツヅラフジの言及
【防已】より
…中国産はツヅラフジ科のつる植物シマハスノハカズラStephania tetrandra S.Moore(粉防已,瓜防已(かぼうい))のほかに,ウマノスズクサ科のつる植物Aristolochia fanchi Wu(広防已)などの茎および根茎を,また日本産はツヅラフジ科の[オオツヅラフジ]Sinomenium acutum Rhed.et Wils.(漢防已)の根をさす。また,木防已と称するものは中国産,日本産ともにツヅラフジ科の[アオツヅラフジ]Cocculus trilobus (Thunb.) DC.であり,名称と基原植物が混乱しているうえに,成分および用途も多少異なる。いずれもアルカロイドを含むが,粉防已はテトランドリンtetrandrine,漢防已はシノメニンsinomenine,広防已は成分未詳,木防已はトリロビンtrilobineなどである。…
【防已】より
…中国産はツヅラフジ科のつる植物シマハスノハカズラStephania tetrandra S.Moore(粉防已,瓜防已(かぼうい))のほかに,ウマノスズクサ科のつる植物Aristolochia fanchi Wu(広防已)などの茎および根茎を,また日本産はツヅラフジ科の[オオツヅラフジ]Sinomenium acutum Rhed.et Wils.(漢防已)の根をさす。また,木防已と称するものは中国産,日本産ともにツヅラフジ科の[アオツヅラフジ]Cocculus trilobus (Thunb.) DC.であり,名称と基原植物が混乱しているうえに,成分および用途も多少異なる。いずれもアルカロイドを含むが,粉防已はテトランドリンtetrandrine,漢防已はシノメニンsinomenine,広防已は成分未詳,木防已はトリロビンtrilobineなどである。…
※「アオツヅラフジ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」