アスパシア(読み)あすぱしあ(英語表記)Aspasia

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アスパシア」の意味・わかりやすい解説

アスパシア
あすぱしあ
Aspasia

生没年不詳。ペリクレス寵愛(ちょうあい)を受けたミレトス生まれの遊女で、紀元前5世紀ギリシアのもっとも有名な女性。ペリクレスはすでに2人の子があったが、正妻と離婚、法律上外国女性との結婚は正式には認められていなかったが、前445年ごろより生涯彼女と同棲(どうせい)し、男の子(小ペリクレス)を得た。のちに2人の嫡子を失うと、彼は自ら定めた法を破り、この1子を嫡子とした。女神ヘラに比せられた才色兼備の彼女は、ペリクレス周辺に出入りしたソクラテスなど当時の名士とも交際した。しかし、女性の地位の低かったアテネでは、こうした行動は政治的な反ペリクレスの動きと絡み、さまざまな反感を市民の間に引き起こしたらしい。ペリクレスの死(前429)後、民衆派の指導者リシクレスと結婚、彼が殺害された(前428)のちもアテネで余生を過ごした。

[真下英信]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アスパシア」の意味・わかりやすい解説

アスパシア
Aspasia

前5世紀頃のギリシアの女性。ミレトスで生れる。ペリクレスが妻と離婚したのち,前 445年頃からペリクレスが死ぬ前 429年まで愛人として同棲。小ペリクレスを生んだ。ソクラテスと談論する知的女性でもあったことは,プラトン対話篇などにも記されている。

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