改訂新版 世界大百科事典 「アチャラ漬」の意味・わかりやすい解説
アチャラ漬 (アチャラづけ)
漬物の一種。ふつうトウガラシを加えた甘酢に野菜をつけたものをいう。南蛮料理の一種で,《料理網目調味抄》(1730)には阿茶蘭漬,《料理山海郷》には阿茶羅漬の名でつくり方が紹介されている。前者では,酢に塩を加えて煮返したものにナス,ショウガ,ミョウガ,れんこん,ゴボウ,イワシ,貝類などをつけるとあり,後者では酢,塩に酒を加えて2度沸騰させて冷ましたものに魚のつくり身をつけるとしてある。より古く1689年(元禄2)刊の《合類日用料理指南抄》には南蛮漬の名で書かれており,はじめは南蛮漬と呼ばれ,のちにアチャラ漬というようになったかと思われる。ちなみに,フィリピンやインドネシアでは漬物をアチャラと呼んでいるが,これはペルシア語で漬物をさすアーチャールを語源としており,日本のアチャラも同源と考えられている。
執筆者:鈴木 晋一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報