日本大百科全書(ニッポニカ) 「アデラード」の意味・わかりやすい解説
アデラード
あでらーど
Adelard of Bath 英語
Adelardus Bathoniensis ラテン語
12世紀前半のイギリスの学者。バースに生まれ、フランスのトゥールで学び、ランで教えたが、その後7年間、シチリア、キリキア、シリア、パレスチナを旅行し、1126年イギリスに帰り、『自然の諸問題』などを書いてアラビアの新しい知識を西欧世界に伝えた。とくにユークリッドの『原論』全巻を初めてアラビア語からラテン語訳したのは有名。また初期には『同一と差異』という哲学の著作を書き、普遍者の問題に対し「無差別説」を主張してプラトンとアリストテレスの立場を総合しようとした。
[伊東俊太郎 2015年1月20日]