アトウッドの器械(読み)あとうっどのきかい

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アトウッドの器械」の意味・わかりやすい解説

アトウッドの器械
あとうっどのきかい

物体をゆっくりと落下させて、重力加速度を容易に測定できるようにくふうした装置イギリスの物理学者アトウッドが考案した。摩擦の少ない軽い滑車に、細い糸をかけ、その両端質量の接近した物体A、Bをつるした構造になっている()。二つの物体A、Bの質量の差を小さくすると、物体はゆっくりと落下するので、落下の加速度を測定しやすくなる。AまたはBの落下の加速度と、二つの物体の質量の値から、計算で重力加速度を求めることができる。物体A、Bの質量が等しい場合には、物体は静止するか、あるいは初速度を与えれば等速運動をする。そこで、糸の両端に等しい質量の分銅をつけ、さらにその一方に小分銅をつけると、一定の加速度で動き始めるが、適当な距離を落下させてから小分銅を取り去ると、それからは等速運動となる。その速さを測定することによって、重力加速度を求めることもできる。

石川光男


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アトウッドの器械」の意味・わかりやすい解説

アトウッドの器械
アトウッドのきかい
Atwood's machine

重力加速度 g を測定するために 1784年 G.アトウッドが考案した装置。なめらかに回転する軽い固定滑車に軽い糸を掛け,両端に質量 MMm のおもりをつけたもの。全系の運動は重いおもりのほうへ向く加速度 mg/(2Mm) の等加速度運動である。質量 M に対し m を小さくとれば,ゆっくり加速される落下運動となり,さらに途中で軽いおもり m を除去すれば,その後は等速度運動となるので,重力加速度 g が精密に測定できる。

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