アフロ=アジア語族(読み)アフロ=アジアごぞく

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アフロ=アジア語族」の意味・わかりやすい解説

アフロ=アジア語族
アフロ=アジアごぞく
Afro-Asiatic languages

アフリカ北部および隣接するアジアに約2億人以上の話し手をもつ諸言語が同系であるとして設定された語族。次の5語派から成り立つ。 (1) セム語派 東方セム語のアッカド語 (死語) ,西方セム語のヘブライ語,アラビア語,エチオピアアムハラ語やティグリニャ語など。 (2) エジプト語派 古代エジプト語とその後裔コプト語から成るが,16世紀にアラビア語に滅ぼされた。 (3) ベルベル語派 南モロッコのシュレ語,アルジェリアのゼナ語など。 (4) クシ語派 ソマリ語,ガラ語などアフリカ北東部で話される。 (5) チャド語派 ハウサ語が代表で,共通語でもあり約 600万人。以前は (2) ~ (4) をまとめてハム語族とし,セム語族に対立させたが,5語派対立というのが最近の考えである。なお,この語族の成立に疑いをいだく学者もある。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アフロ=アジア語族」の意味・わかりやすい解説

アフロ・アジア語族
あふろあじあごぞく

アメリカの言語学者グリーンバーグJ. H. Greenbergの提唱した名称。セム語派(アラビア語、ヘブライ語、アラム語、アムハラ語、ティグリニャ語、ティグレ語、グラゲ語など)、エジプト語派(死語。コプト語など)、ベルベル語派(タマジグト語、リフ語、カビール語、トゥアレグ語など)、クシ語派(ベジャ語、シダモ語、アファール語、ガラ語、ソマリ語、レンディーレ語、イラク語など)の従来セム・ハム語族とよばれてきたものに、ブラック・アフリカ最大の言語の一つであるハウサ語、およびその周辺の諸言語(これらをまとめてチャド語派とよぶ)を付け加えたもの。ただし、これらの系統論的研究には、いまなお種々の問題点が残されている。

[湯川恭敏]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

マイナ保険証

マイナンバーカードを健康保険証として利用できるようにしたもの。マイナポータルなどで利用登録が必要。令和3年(2021)10月から本格運用開始。マイナンバー保険証。マイナンバーカード健康保険証。...

マイナ保険証の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android