日本大百科全書(ニッポニカ) 「アプシェロン半島」の意味・わかりやすい解説
アプシェロン半島
あぷしぇろんはんとう
Апшеронский Полуостров/Apsheronskiy Poluostrov
アゼルバイジャン共和国のカスピ海西岸に突出した半島。長さ約60キロメートル、幅30キロメートル。大カフカス山脈の東端部にあたる。南岸にはバクー市がある。標高50~165メートルの波状地で、泥火山、鉱泉(おもに硫化水素泉)が多数分布する。第三系の含油層から良質の石油、天然ガスが産出するが、最近では石油の埋蔵量が減少し、5000メートル以上の深さの鑿井(さくせい)、および海底油田に頼っている。バクーと北岸のスムガイトには火力発電所があり、機械、化学、繊維その他の工業が発達し、またトビリシに向かって、石油、ガスの輸送管が敷設されている。乾燥亜熱帯気候で植物は乏しいが、灌漑(かんがい)により野菜、メロン、ブドウ、オリーブなどを栽培する。
[保谷睦子]