改訂新版 世界大百科事典 「アメリカンリージョン」の意味・わかりやすい解説
アメリカン・リージョン
American Legion
アメリカ在郷軍人団。第1次大戦の時にアメリカのヨーロッパ遠征軍兵士の間で組織され,1919年9月法制化された。その後第2次大戦,朝鮮戦争,ベトナム戦争の復員兵士が加わり,団員数約262万(1982)を数える。アメリカにおける圧力団体の中でも最も有力な組織の一つであり,恩給や遺族年金の獲得・増額,さらに復員軍人の教育援助,経済援助を制定したGIビル・オブ・ライツ(権利章典)の立法化(1944)など顕著な成果をあげている。行政部内には巨大な独立行政機関として復員軍人庁Veterans Administrationが組織されており,立法部にも在郷軍人団員である議員が多い。在郷軍人自体の福祉だけではなく,児童福祉の面でも活動しているが,国防面での圧力活動は活発で,国防費の増額など国防省の支援団体として機能している。さらに広く愛国主義的活動を行い,第2次大戦後の冷戦の下で非米活動の取締り,反共思想の普及などに有力な役割を果たしてきた。
執筆者:斎藤 真
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報