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圧力団体 アツリョクダンタイ

百科事典マイペディアの解説

圧力団体【あつりょくだんたい】

プレッシャー・グループpressure groupの訳。〈ロビー〉などとも呼ばれる。政府や政党に圧力をかけて自己の利益を擁護しようとする社会団体。労組,農民団体,女性団体,財界など。
→関連項目アメリカン・リージョンチャイナ・ロビー日本郷友連盟

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世界大百科事典 第2版の解説

あつりょくだんたい【圧力団体 pressure group】

政党以外で,なんらかの共通の目的の追求にあたって,公的政治決定に影響を及ぼそうとする団体をいい,〈政治的利益団体〉〈ロビー〉などとも呼ばれる。各種の経営者団体労働団体農業団体,専門職団体などがその端的な例である。
圧力団体の発展]
 圧力団体は,一般的には,19世紀後半以来の工業化・都市化の大発展に伴う社会的利益の分岐・対立状況の変動と,このような新しい社会的条件下で諸利益の擁護・増進を政治を通して実現することを可能にした大衆デモクラシーと積極政治の発展という政治的条件の変化を背景として台頭してきた。

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大辞林 第三版の解説

あつりょくだんたい【圧力団体】

自己の特殊利益や主張を実現するため、議会や行政府などに対して政治的圧力を行使する社会集団。プレッシャー-グループ。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

圧力団体
あつりょくだんたい

プレッシャー・グループ」のページをご覧ください。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

圧力団体
あつりょくだんたい
pressure groups

自らの目的を実現するために、広義の政府(各級の議会、行政府、政党など)ないし政治過程(政策形成過程、執行過程、世論など)に対して、多少とも組織的な仕方で影響力を行使しようとする集団をいう。それは政権の獲得と国の統治を直接には目ざさないという点で、政党とは区別される。「圧力団体」ということばの語感が悪いため、近年は「政治的利益集団」「ロビー」lobbyなどの中立的語感をもつ用語が使用されることが多い。[田口富久治]

類型

1950年代ごろまでは、圧力団体は「特殊利益」、とくに経済的、職能的な特殊利益の実現を目ざす集団として理解されてきた。それが歴史的にもっとも早くから発達したアメリカ合衆国の例をとれば、全国製造業者協会(NAM)などの経営者団体、アメリカ労働総同盟・産業別組合会議(AFL-CIO)に代表される労働組合、全国農民同盟(NFU。民主党系)やアメリカ農地局総同盟(AFBF。共和党系)などの農業団体、アメリカン・リージョン(在郷軍人会)、アメリカ医師会、全米ライフル協会(NRA)などがそれにあたる。しかし1960年代末以降になると、このような特殊利益団体とは異質の、あるいはこれらに対抗する「公共利益」や「対抗利益」の実現を目ざして政府と政治に働きかける「公共利益団体」public interest groupsや「対抗利益団体」countervailing interest groupsが台頭してきた。ふたたびアメリカを例にとると、1970年に設立されたコモンコーズ、ラルフ・ネーダーらの諸組織、アメリカ消費者連盟、消費者同盟など、政治改革、環境保護、消費者の諸団体がある(ちなみにイギリスの核軍備撤廃運動組織CNDなどの平和団体もこのカテゴリーに入れることができよう)。さらに、高齢者団体、福祉年金受給者団体、心身障害者団体などもあげられよう。要するに、伝統的な圧力団体が特殊経済利益志向型であるのに対し、公共利益団体や対抗利益団体は、公衆全体の利益あるいは社会的弱者の利益を志向し、前者に対する対抗力として登場してきたものである。なお、「公共利益団体」を「態度集団」「促進団体」promotional groupとよんでいる学者もある。
 日本の場合においても、伝統的圧力団体のカテゴリーに属するものとして、企業分野では日本経済団体連合会(経団連。2002年にそれまでの日本経営者団体連盟と経済団体連合会とを統合して創設)、経済同友会(1946年創設)、第二次世界大戦前からの日本商工会議所(日商。1921年創設)、労働分野では日本労働組合総連合会(連合。1989年にそれまでの日本労働組合総評議会、全日本労働総同盟などを統合して創設)など、農業分野では農業協同組合(農協。1947年創設)、消費者の組織としては生活協同組合(生協)が購買を通じて1000万人以上を緩やかに組織している。そのほか、日本医師会、日本歯科医師会、地方六団体(全国知事会・市長会・町村長会、全国都道府県議会議長会・市議会議長会・町村議会議長会)、各種業者団体などがあげられるし、促進団体に属するものとしては、各種の平和運動団体、環境保護団体、消費者団体などがある。[田口富久治]

台頭の背景

すでに触れたように、圧力団体現象はとりわけアメリカにおいて早くから顕著に発展してきた現象であって、とくに19世紀の中ごろ以降に全国的基盤にたつ圧力団体が輩出した。その理由として、社会・経済的要因としては、アメリカの地理的広大さに由来する地域的利益の対立、人種的・宗教的多様性に基づく利益の対立、経済的利益の対立、政治的要因としては、この国における世論尊重の政治のあり方、連邦制および権力分立制などに基づく政府構造の多元性・複雑性、アメリカの政党の特質、とくに党規律の脆弱(ぜいじゃく)性、全国的政党リーダーシップの弱体性があげられる。しかし第二次世界大戦後になると、この圧力団体現象はアメリカのみに特有な現象ではなくて、遅くとも20世紀に入ってからは先進諸国において共通に認められるものであることが判明してきた。
 20世紀に入ってからさまざまな国で圧力団体が台頭してきた条件ないし背景としては、相互に関連する次の二つのことがあげられる。
 一つは、資本主義の高度化に伴う階級の分極化、それぞれの階級内部での階層的分解と職能的分化の進行である。これらの階級、階層、職能は、それぞれの利益を擁護、実現するためにしばしば連鎖反応的に組織化されていく(「集団の噴出」現象)。その際、資本主義の高度化に伴う通信、交通などのテクノロジーの発展が、集団組織化を容易にし、かつ大規模で官僚制的構造をもつ巨大圧力団体の形成を容易にする。
 二つは、資本主義の高度化が、国家機能の拡大と執行権の強化とよばれる現象を引き起こすことである。とくに第二次世界大戦後に国家は単なる恐慌対策とか戦時動員とかの域を超えて、資本主義の長期的安定と成長の計画化を目ざすようになり、その経済的・社会的管理機能は、全面的、恒久的、構造的なものとなる(政府活動の社会化)。こうしていっさいの職能集団その他の利益集団は、自らの利益を擁護、実現するためには、不可避的に政治過程に関心をもち、それに恒常的に働きかけざるをえなくなる(社会の政治化)。また政府のこのような全面介入は、それまでは潜在的なものにとどまっていた諸利益を顕在化、組織化させ、圧力活動に駆り立てる。
 なお圧力団体台頭の原因としてしばしば説かれる地域的代表制の不備とか、政党の媒介機能の喪失とかの理由は、前述の理由による台頭のむしろ結果であることが多い。[田口富久治]

現代政治と圧力団体

各国の圧力団体の作動の仕方は、それぞれの国の政府の構造、政党のあり方、政治文化の特性などに応じて異なる。たとえば、分権的統治構造と党規律のルーズな二大政党制をもつアメリカでは、圧力団体の「接近地点」が、両院とその諸委員会、大統領と行政部、州以下の地方議会と執行部、世論などに広範に分散している。これに対し、議院内閣制と党規律の強固な二大政党制をもつイギリスでは、主要な「接近地点」は集権的な政党内閣=官僚制に設定され、議会に対する接近は副次的意味しかもたない。しかし、そのイギリスにおいてすら、従来の立法部に対する圧力活動に加えて、行政部に対する圧力活動(行政ロビイング=ロビー活動)が重要性を増している。また圧力活動のやり方としても、ロビイストが政府の役人、議員、政党の有力者などに直接に接触する直接的ロビイングに加えて、自らの団体に有利な世論形成を目ざす対公衆活動や、一般有権者からの議員などに対する手紙・電報などによる要請や抗議を組織化する間接的ロビイングないし草の根ロビイングが盛んになっている。
 政治文化のあり方が、圧力団体の相互関係や行動様式にどう影響するかといえば、アングロ・サクソン諸国のように、概して同質的・世俗的文化をもち、政治的役割構造が高度に分化しかつ安定している諸国では、圧力団体の相互関係がそれほど敵対的ではなく、体制の枠を超える「極端な」行動手段をとることが少ないのに対し、政治文化の同質性が乏しく、役割構造の安定性の低い国々では、特定の政党と圧力団体の相互浸透と、それぞれに系列化された政党と圧力団体の間の鋭い対立、そして一部の圧力団体による「過激な」手段の採用がみられる。「圧力政治」の問題点には、
(1)圧力団体によってその利害が代表されている人々が社会の少数者にすぎないこと、
(2)現代の巨大圧力団体においては組織内での寡頭制支配が生じやすく、圧力活動の成果が一部少数者によって享受される傾向のあること、
(3)圧力団体の政治的影響力がけっして平等ではなく、たとえば大企業の圧力団体などが大きな影響力を行使しがちなこと、などがある。[田口富久治]
『日本政治学会編『日本の圧力団体』(1960・岩波書店) ▽上林貞一著『圧力団体論』(1963・有斐閣) ▽田口富久治著『社会集団の政治機能』(1969・未来社) ▽内田満著『アメリカ圧力団体の研究』(1980・三一書房) ▽村松岐夫・伊藤光利・辻中豊著『戦後日本の圧力団体』(1986・東洋経済新報社) ▽辻中豊著『利益集団』(1988・東京大学出版会) ▽内田満著『変貌するアメリカ圧力政治』(1995・三嶺書房)』

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世界大百科事典内の圧力団体の言及

【アメリカ合衆国】より

…つまり,議員は全国民の代表ではなく,選出された地域の利害代表であり,共和党も民主党も,それぞれ規律のある統一された全国政党というよりは,州を中心とする地方政党の連合体であるといってよい。こうした議会内投票における党規律の欠如は,後に述べるように圧力団体の活動の余地を大きくする。なお,交差投票が可能なのも,二大政党が本質的には同質的な政党であることによる。…

【ロビー】より

…ロビーはそのための空間の総称であり,ここには西欧の空間にはめずらしい,あいまいさが求められることになる。また,議会で議員が院外者との会見に用いる控えの間をロビーと呼び,このロビーに出入りして議員に働きかける陳情団,圧力団体をロビーあるいはロビイストlobbyistという(ロビイング)。【鈴木 博之】。…

【ロビイング】より

…各種団体,企業,個人などが,特殊利益や公共的利益などの擁護・増進を目的として議員や政府当局者に接触し,政治的決定形成に影響力を及ぼそうとする活動を指す。圧力団体によって試みられるものが典型的である。20世紀初頭までは,このような活動の主対象は立法府であり,〈ロビイング〉という語も,議会のロビーlobby(議員が院外者と面会する控室)で議員に対して行う〈圧力活動〉を意味する語としてアメリカで用いられはじめたのであるが,その後,行政府が,ロビイング活動の主要目標としての重要性を急速に高めてきた。…

※「圧力団体」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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